『1000年先も』
今の時代ってなんか凄いですよね
こう、なんていうか……全体的に?
科学の発展だとか価値観の変動だとか、酔いそうなぐらいに新しいものが誕生してますよね
ぽんぽんぽんぽん
……なんかやばくないですか!
ここ十年ぐらいで、どれだけのものが変わったのでしょうか?
このまま変わり続けることは、私達にとって良い事なんですかね?……それとも悪いこと?
この人類社会の変化はまだ始まったばかりでしょうから、いま考えたところであまり意味が無い気もします
未来なんて誰にも分からないでしょうからね
この答え合わせが出来るのは、1000年先にはなりそうです
『勿忘草(わすれなぐさ)』
──勿忘草(わすれなぐさ)が咲いた
俺は善人では無い
主観的で
客観的で
普遍的な事実だ
──勿忘草(真実の愛)が散った
最小の犠牲で最大の幸福を求めた社会
その中で生きる誰が善人になり得る?
瞬間的な悲劇がなんだ
永続的な悲劇はなんだ?
本当は解っているくせに
白痴のふりをする奴等ばかり
──勿忘草(真実の友情)が散った
考える余地も無く
議論の必要も無い
馬鹿馬鹿しくて
馬鹿馬鹿しくて
ただただ
ただただ
つまらないだけの話
──勿忘草(私を忘れないで)を踏みにじった
『ブランコ』
……ブランコを見ていた
何時だってブランコは人気で
僕は乗ることが出来なかったんだ
"みんな"が交代交代しながら
楽しそうにブランコを漕いでいる
ぎぃこ、ぎぃこ、ぎぃこ
"みんな"に混ぜて貰えなかった僕は
地面に半分だけ埋まったタイヤに腰掛けて
その光景を冷めた目で見ていた
羨ましいとは言わなかった
別に乗りたくなんて無いと言った
傲慢だった
怠惰だった
狭窄だった
……ブランコを夢見ていた
何時だって愚か者は独りで
ブランコに乗ることが出来なかったんだ
『旅路の果てに』
風が吹いては髪が靡いた
道を歩いては歌を歌った
ケ・セラ・セラ
なるようになるわ
未来は誰にも分からないけど
ケ・セラ・セラ
なるようになるわ
雨が降っては髪が濡れた
傘をさしては歌を歌った
ケ・セラ・セラ
なるようになるわ
未来は誰にも分からないけど
ケ・セラ・セラ
なるようになるわ
何かに出会っては旅を続けた
何かと別れては歌を歌った
ケ・セラ・セラ
なるようになるわ
未来は誰にも分からないけど
ケ・セラ・セラ
なるようになるわ
『I LOVE…』
「I LOVE──」
……いや待てよ
「愛して──」
……もう一捻り
「月が綺麗──」
……ありがちか?
……あれはどうだろう?
……これは?
……こんな感じか?
────
──
………これだっ!
──翌日の放課後──
「 一度でも究極の美を見てしまえば、それ以外のものは相対的に格下げされてしまうものです。
貴女と会ってしまった後ならば、かの有名な文豪……夏目漱石をもってしてもこのような言葉を紡ぐことになるでしょう」
「『月が……"干からびた鏡餅"のようですね!』」
「……何言ってんの?ごめん、私バカだから意味わかんないや」
「この後バイトあるからもう行くね、ちょっと忙しくて……じゃあまた明日!」
──ガラガラ
タッタッタッタ……
「…………」
「……I LOVE YOUって言っとけば良かった」