『木枯らし』
烏が鳴いた
群れる
群れるは
烏合の衆
影が落ちた
伸びる
伸びるは
影法師
朱に染まるは俗世
常世たるは現世
時は逢魔
黄昏に現る誰そ彼
夕暮れ溶けた
あはれ木枯らし
『美しい』
(私は何がしたいんだろう?)
もう昼になる頃合いだというのに、いまだに家で惰眠を貪っている、本来は家にいても良い日ではない。
疲れたんだ。
やる気が起こらない、何も考えたくない、息をするのも億劫になった。
やるべき事は沢山あるのに、そんな事は分かってるのに、今の私はただ無意味に時が経つのを見過ごしていた。
生きながらにして死んでいる感覚、ゾンビという表現がこれ程似合う状態も無いだろう。
そんな状態でも、"今のままでは駄目だ"という意識は残っていたみたいだ。
罪悪感だか焦燥感だかにせっつかれて、緩慢とした動きで起き上がる。
……駄目だ、頭がクラクラとする。
おでこに手を当てるが熱は無い、ただただ気怠さが全身を蝕んでいるようだった。
その気持ちの悪さに抗いながら、とりあえず手元にあったリモコンのボタンを押し、テレビをつける。
……どうやら今日は皆既日食の日らしい。
その様子を写したライブ映像が、テレビ一面に流れている。
『もうそろそろですかね!』
アナウンサーらしき人の声が聞こえる。
『えぇ、もうじきだと思いますよ』
専門家らしき人がそれに応える。
そしてその数秒後……私は言葉を失った。
『出ましたっ!これが"ダイヤモンドリング"ですね、とっても綺麗ですっ!』
……違う。
『はい、その通りです。いやーそれにしても、本当に綺麗な"ダイヤモンドリング"ですね〜』
……違うよ。
『この"ダイヤモンドリング"、皆既日食の始まりと終わり、特に終わりにかけての僅かな時間しか見る事が出来ないそうです!』
これはそんなちゃちなもんじゃない。
『とても貴重な映像ですね、本当にダイヤをあしらった指輪みたいに綺麗ですよね〜』
これはそんな俗なもんじゃない。
これは……この輝きは……そんなんじゃないんだ。
あぁ……違う、違うんだよ。
私の頬を何かが伝う、そこで初めて自分が泣いている事に気が付いた。
この感情を言葉にする事なんて出来ない。
ただ、強いて言うのであれば。
この感情の一部分だけでも良いのであれば。
ただひたすらに……
「……美しい」
この感情を焼き付ける為に目を閉じる。
……瞼の裏の暗闇が、ゆらゆらゆらゆらと歪んだ気がした。
『この世界は』
物語であれ
絵画であれ
音楽であれ
どの作品にも世界があって
どの作品にも評価がある
私達が生きてるこの作品
評価は星3ぐらいだろう
名無しさん
2023/01/16 04:30
★★★☆☆ 3.0点
総評価件数 約80億人
《人によって好みが分かれそうな作品》
人によっては楽しめるんじゃないかな?
個人的には最初の期待値が高かったのもあって、少し残念な印象。
まぁ、一回ぐらいなら試しに体験してみても損は無いと思うよ。
『どうして』
「どうしてあんな事をしたんだ?」
放課後の職員室で、先生が僕に……今思えば優しく問いかける。
「…………」
当時の僕は何も言えない、何か言わなくちゃと思っているのに、体が震えて涙がでてくるばかりだった。
「先生は怒っている訳じゃないぞ?大丈夫だから、この話はまた今度〇〇が落ち着いた時にしようか」
先生はどこまでも優しかった、だから何とか僕も話す事が出来たんだ。
「……ごめッ、ごめんな……さい、ごめんなさい」
引き攣ってしまった声で何とか発した言葉は、とてもか細いものだった。
「謝る必要は無い、わざとしたわけじゃないんだろう?先生はどうして〇〇があんな事をしたのか理由が知りたいんだ」
先生も本当は分かっていたのかもしれない、あれをしたのが本当は僕ではない事を。
僕があの子を庇っている事を。
「…………」
だから黙りこくる僕を見て、優しさの混じった……それでいて困った顔をしていたのだろう。
しかし今度こそ僕は何も言えなかった。
どうしてあの子があんな事をしてしまったのかなんて、僕にも分からない。
だからといってあれをした犯人を言ってしまえば、あの子が怒られてしまう。
いやそれよりも、告げ口をした事によってあの子に嫌われるのが怖かっただけなのかもしれない。
「……言えないか?」
「…………」
無言でコクリと頷く。
「そうか……なら仕方ない!〇〇も疲れただろう、もう帰って大丈夫だぞ」
無言でコクリと頷き背を向けて、
「今日の事はそんなに思い詰めなくても大丈夫だからな、気を付けて帰るんだぞー」
無言でコクリと頷き職員室を後にした。
僕は自分が情けなかった。
適当に理由をでっち上げて話せば、それだけであの子を完璧に庇えたはずだった。
なのにそれすらしないで、ただ黙りこくって泣いていただけ。
結局のところ先生には分かって欲しかったのだろう、本当は僕がやったんじゃないって。
あぁ、情けない。
情けない。
涙が……止まらない。
僕の中の僕が言う。
『お前は悪者にすらなりきれないのか』
そうして僕を見下ろして……ただひたすらに哀れんだんだ。
『夢を見てたい』
夢を見てたいとは思うけど
それではずっと幻のままだから
夢を現実にしてやった
自分の力で正夢にしてやったのだ
「どうだ凄いだろう!」
白シャツをジーンズにINした服装で
ステージの真ん中
スポットライトに照らされた私が言う
周りはスタンディングオベーション
拍手喝采の大盛り上がり!
ステージの両端からクラッカーが発射され
ヒューヒューという口笛が何処からともなく聞こえてくる
記者が駆け寄ってきて質問する
「どうしてそんな事が出来たんですか!?」
その質問が発された瞬間
今まで騒がしかった周りが
私の答えに期待するように静まり返る
だから私はその質問にこう応えたのだ
「そこに夢があるからさっ!」
その一瞬間後
爆発したように場が盛り上がった
踊り出す人までいる始末だ
この熱は……まだまだ冷めそうにない
…………なーんて夢を見ましたとさ
ちゃんちゃん♪