『冬は一緒に』
あぁ寒い
息も白いし
手だってかじかんでる
水を使えば痛いぐらいで
指先なんて氷のよう
痛痒い霜焼けがいつまで経っても治りやしない
なぁ冬よ
お前だって寒いだろう?
意地の張り合いなんて辞めだ辞め
お前の寒さを無くしておくれ
私の震えを無くしておくれ
私とお前で暖まろう
私と一緒に春を待とう
『とりとめもない話』
人を騙すのは?
悪い事だね。
人に暴言を吐くのは?
悪い事だね。
人を殺すのは?
悪い事だね。
人が敵に変わったら?
当たり前だね。
そんな事より昨日のテレビ観た?
『風邪』
くしゃみをする、私が出た
まだ鼻がムズムズとする
くしゃみをする、私が出た
まだまだ鼻がムズムズとする
くしゃみをする、くしゃみをする、する、する、するするするする…………私が出た
ついに残ったのはむず痒さだけ
くしゃみをする、何が出た?
『雪を待つ』
こんにちは雪です
いえ、雪だったものです
降り積もって初めはふわふわだった私ですが、人に踏み固められて氷のようになってしまいました
このままでは危険です
私の上を通った人が、滑って怪我をしてしまうかも知れません
だから新たに雪が降るのを待ってます
氷のように固くなった私ですが、表面だけでもふわふわに戻れば可哀想な怪我人は出ません
……日が当たって溶けるのを待てば良いって?
ずいぶんと残酷な事をおっしゃいますね
『イルミネーション』
「…………アンタどうしたの?」
「……いや、僕って暗いから……こうすれば……まだマシかなって……思って……」
「いや、だからって……身体中にイルミネーション巻き付けるのは違うんじゃないかなぁ〜って」
「……ダメ?」
「ダメっていうか……こう、ズレてるというか……とにかく辞めた方がいいんじゃないかな?」
「……そっか……じゃあどうしたら……明るくなれるんだろう……」
「……そのままで良いんじゃない?アンタが思ってるよりも、誰もアンタに興味なんて無いよ」
「…………」
「わーー!泣かないでっ!ごめんっ!そんなつもりで言ったんじゃないから!」
「私はアンタの良いところ沢山知ってるよ!無理して変わろうとしなくても、分かる人だけが分かれば良いんじゃないかなって思うの」
「……それは……そうだね……でも何だか寂しいんだ……」
「……みんな……青春を持ってる……僕だって欲しかったけど……無理だったから……」
「だから明るくなろうとしたの?」
「……うん」
「そっかぁー……でもやっぱり、アンタはアンタのままでいいと思うよ?」
「……どうして?」
「みんな青春を持ってるのかも知れない、みんなアンタより明るいのかも知れない」
「だからこそアンタみたいな人が必要なんだよ、本当に全員が全員明るかったらその価値が無くなるでしょ?」
「逆に考えたらアンタは青春を持ってる人、明るい人を客観的に見る事が出来る貴重な人なんだよ!そこは喜んでもいいんじゃない?」
「……そっか……そうかも……知れないね……僕は僕なりに頑張って……考えて生きてみるよ」
「……でもやっぱり……僕だって……青春を持ちたかったなぁ……」
「いや、その性格じゃ無理でしょ」
「…………」
「わーー!ごめん!泣かないでっ!」