『宝物』
アイツの宝物を奪ってやった
なのにアイツは飄々としていた
……腹が立った
何故だか無性に腹が立ったのだ
だからアイツのもとを去る時に、ふと目に付いたゴミを蹴飛ばしてやった
……ただのチンケな八つ当たりだった
ガシャーンと、何かが壊れる音が響いた
……自分はその時の事をずっと後悔している
取り返しのつかない事をしてしまったと後悔しているのだ
ゴミを蹴ったその時──
『……っ!っあぁ!っあああ゙ア゙ァ゙ッッ!!』
──その時、背後から聞こえたアイツの悲鳴が……今だに耳にこびりついて離れてくれないのだから
『キャンドル』
暗闇の中、私はじっと眺めている
チリチリ……チリチリと、揺らめく炎を
細かく揺れるその小さな明かりは、果たして何時からそこにあったのだったか?
なんて……白痴みたいに考える、たった数十分前に自分自身で灯したくせに
小さなキャンドルに、これまた更に小さな炎
私はじっと眺めている
私はずっと眺めている
『たくさんの想い出』
アルバムにはたくさんの想い出がある。
記憶の中の思い出が薄れていってしまっても、アルバムを開けば当時の風景や、そこに写る人々の表情を観る事が出来る。
過去そこにあったであろう様々な想いを、現在の頭の中に描いていけるのだ。
思い出とは過去《むかし》のもので、想い出はいつも現在《いま》にある。
私はそんな風に考える。
『冬になったら』
春に出会い
夏に近づき
秋にすれ違い
冬に別れる
……なんて、適当なイメージを持ってはいるが。
そもそも出会いのない私には、季節なんて関係ないか。
…………あー、寒ぃな。
『はなればなれ』
もともといっしょだったのに
はなればなれになっちゃった
とってもかなしいなぁ
でももうだいじょうぶです
はじめからはなれていたら
これからさきは
はなればなれになることはないから
かなしさなんてかんじません
……だよなぁ?……そうだよなぁ??
…………あってるよなぁ???