『宝物』
アイツの宝物を奪ってやった
なのにアイツは飄々としていた
……腹が立った
何故だか無性に腹が立ったのだ
だからアイツのもとを去る時に、ふと目に付いたゴミを蹴飛ばしてやった
……ただのチンケな八つ当たりだった
ガシャーンと、何かが壊れる音が響いた
……自分はその時の事をずっと後悔している
取り返しのつかない事をしてしまったと後悔しているのだ
ゴミを蹴ったその時──
『……っ!っあぁ!っあああ゙ア゙ァ゙ッッ!!』
──その時、背後から聞こえたアイツの悲鳴が……今だに耳にこびりついて離れてくれないのだから
11/20/2022, 10:31:23 AM