ノーム

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10/25/2022, 5:52:05 PM

『友達』


──自分には友達がいない。

某県某所某高校の某季節、某教室の前から某番目、窓際の席でそんな事を考える。
どんな理由があってつくれないのか、そもそも理由があったのか、思い当たる節が無い。
………まぁ、そんな事はどうでもいい。

今回考えたいのは、そんな変わり者の自分にも何故か話しかけてくる変わり者がいる事だ。

──ガラガラ

「おはよう!」

先程勢いよく……と言うには物足りないぐらいの強さでドアを開けて、クラスメイトに明るく挨拶をしている女性。

そう、 彼女が件の変わり者である。

こちらに向かって歩いてくる彼女、正確には彼女に宛てがわれた席であり、自分からして隣の席に向かっているわけなのだが……目線は何故か自分に向けられている。

「おはよう! ○○、そんなに見つめられると照れるんだけど? 何かついてる?」

あぁ……自分も彼女を見ていたのか、それは不思議に思うのも無理はない。

「あぁおはよう、少し考え事をしていてね。○○に関係がある事だったから……つい」

馴れ馴れしくも彼女は自分を呼び捨てにするので、自分も意趣返しとして呼び捨てにしている。
……彼女は、全く堪えていない様だが。

「私について考えてたの? ○○は変わり者だね」

「そうは言ってない、たまたま○○に関係のある事だっただけだよ。それと、○○だって変わり者なのは変わらないだろう?」

「変わり……え、変わ? なんの話……? また難しい事言ってる?」

…………自分は彼女が可哀想になり、懇切丁寧に自分の考えていた事を説明してあげることにした。
よくよく考えれば本人に直接聞けば分かるかも知れない、なんて思いながら。

「そんな事で悩んでたの? 頭は良いのにバカだねぇ」

「……悩んでなんかいない。でも、そこまで言うからには、合理的で論理的に分かりやすく説明する事が出来るんだろうね。そんな事も分からない自分なんかとは違って」

「……拗ねた」

「……拗ねてない」

「えー」

「……もういい」

そう言って机に突っ伏して窓の方へ顔を向ける。
別に拗ねている訳では無い……そう、彼女と話すのが疲れただけだ。

「ごめんって、悪かったから許して? 何で私が○○に話しかけるのか教えてあげるから! ね?」

「…………」

知るものか、絶対に顔を上げてやらない。

「それはね……○○が私の友達だからだよ!」

「──!!」

「……いや、やっぱ違うね」

…………一瞬驚いたがなんて事は無かった。
当たり前だ、自分に友達はいないのだから。

そう……当たり前、別に悲し「大親友だからだよっ!!」…………。

「おーい」

「…………」

「……ねぇ、顔上げてよ。○○の耳、真っ赤だよ」

「…………」

「もういいもん、私も不貞寝するから!」

数分後、頭を少しズラしてチラリと隣を見てみれば、彼女の耳もまた赤かった。

○○の大親友は変わり者で恥ずかしがり屋だ。


──やはり自分には友達がいない。

某県某所某高校の某季節、某教室の前から某番目、窓際の席でそんな事を考えた。

10/24/2022, 10:47:58 AM

『行かないで』


「煙草は外で吸って欲しい」
貴方は聴こえていないらしい

「酒を飲むのはやめて欲しい」
貴方は聴こえていないらしい

「ならば私と別れて欲しい」
貴方は聴こえていないらしい

不思議に思って貴方を見れば、耳だけ言葉が書かれていない

察した私は家を出る
貴方は耳なし芳一に、なるべくしてなったのだ

振り返れば芳一がついに言葉も出ないのか、こちらを見ながら口をパクパク

「さらば愛しの耳なし芳一、次は耳まで書きなさい」

家を出てから徒歩数分、カーブミラーに写った私が髪をかきあげ耳が出る
……何だ、お互い様ではないか

照れて染まった綺麗な耳に、貴方の言葉が書き足される

──行かないで

10/23/2022, 10:48:56 AM

『どこまでも続く青い空』


あの子が飛んだ
「あの子は虐められていた」

あの子が飛んだ
「あの子は真面目で優しい子でした」

あの子が飛んだ
「あの子はあなたが好きでした」

聞いたら出る出る馬鹿語り、そんなチンケなワケが無い

お前があの子を救えなかった、あんたの為に生きれなかった
そこにあの子は居たはずなのに、あの子は探したはずなのに
そうしてあの子に捨てられた、全員揃って失望された

だからあの子は飛んだのだ

だからあの子は死んだのだ

だから───

遠ざかっていく空を見ながら想う
その青空は……どこまでも続いていた

10/22/2022, 7:38:35 PM

『衣替え』


最近急に寒くなってきた、長袖の服を出そう。
半袖の服はしまい込む

最近急に暑くなってきた、半袖の服を出そう。
長袖の服はしまい込む

まだまだ暖かい日もあるし、少しだけは残しとこう。
半袖の服を少し出す

まだまだ冷える日もあるし、少しだけは残しとこう。
長袖の服を少し出す

私は何時でも私様、服の皆は振り回される
文句なんて言えないよ、だって──

……うーん、この服はもういらないな。

──ねぇ?

10/22/2022, 3:14:16 AM

『声が枯れるまで』


子供の頃は良かった
「楽しかったなぁ」

周りの大人が優しかった
「嬉しかったなぁ」

責任なんて無かった
「気楽だったなぁ」

それが今はどうだろう
「…………あぁ」

周りの人は信用出来ず
「……そうだよなぁ」

責任だけが伸し掛る
「……もういいよなぁ」

──ガタンッ

「──!!……──!……、…………」

どうして声が出ないのか

「…………」

あぁ……枯れたのか

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