Mirror

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7/28/2024, 4:06:57 PM

わたがし、たこ焼き、かき氷。

1枚の紙で何でも買えると思っていたあの頃の
君と僕の初めての夜遊び。

2人でかき氷を食べて、わたがしも買ってしまえば
残ったのは硬貨数枚。

神社の階段の隅っこのところに座って
花火を見ながらわたがしを一緒に頬張った。

大きな音を立てて、花火が散ってしまうと
君はわたがしとともに消え去ってしまった。

心に穴が空いたような寂しさが僕を襲った。


あれから十数回目の夏が来る。

千円では何でも買えないことも知ってしまった。
夜に遊びに出ても怒られなくなってしまった。

毎年買っていた綿菓子の店を通り越して、
四つ先の店でたこ焼きを買う。

神社の境内に座っていた君は、
僕の持っていたものに気づいて淋しそうに微笑んだ。

空が色とりどりに変わっているのを横目に君は、
憂いを隠して、たこ焼きを頬張っていた。


翌年の夏祭り

暁が終わり、東雲の空に移り変わっても
君は来なかった。

僕は綿菓子を溶かした。

7/19/2024, 6:55:45 PM

君の視線はスマホに釘付け。
僕を構ってくれないで、株ばかりずっと見てる。

不貞腐れて、買ったばかりのネコちゃんのぬいぐるみを抱き寄せれば今度は君が不機嫌。

株を見るのをやめて、ぬいぐるみをどかして僕の膝に乗ってきた君は、満足したような笑みを浮かべて、僕の髪を撫でた。

やっと、君の視線を僕が独り占めできるらしい。

7/11/2024, 9:06:00 AM

まだ寝てたいという心の声を1度無視して瞼を開ける。


手を少しだけ横に動かせば、
君のいた温度はもうなくて冷たい。

ゆっくりと体を起こし、近くに置いてある、大きなサメのぬいぐるみを抱き寄せてまた眠りにつく。

少し経ったら朝ごはんを作ってくれた君が、
僕のことを優しく起こしに来てくれてくれるから。


それまではまた眠りにつこう。

7/6/2024, 8:41:40 AM

白い吐息。
髪を撫でる木枯らし。
僕と君の2人だけの帰り道。


"星が綺麗ですね。"

閑静な住宅街に響いた僕の声。


君は笑って

"そうだね"と返した。

7/4/2024, 2:42:38 PM

神様だけが知ってる訳じゃない。

この人の優しさや暖かさ、
僕を救ってくれるこの手だって。
全部を知ることは出来ないけど、
今この温もりは僕のもの。

神様なんかには分からない僕だけの優越感。

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