魂にも重さがあるってのは
あながち間違いじゃないのかもなと感じた。
小さな体を抱き上げてわずか30秒あまり。
最後に口をはくはくと動かして、ふうっと息をつくと
手にあった重さがふっと消えた。
1月27日午前7時32分、彼は虹の橋を渡った。
19年と4ヶ月と26日、比較的長寿と言われる小型犬種の中でも
なかなかに長生きであった。
伝えたい事は山程あった。
「君がいなくなるのは寂しいよ」
「もう、側で一緒に寝てくれたり、ごはんをねだりにきてくれないんだね」
「だいすきだよ。ずっとずっと愛しているよ。」
「たくさん頑張ったよね。えらかったね。もう大丈夫。安心だよ。」
「本当に、いままでずっとそばに居てくれて、一緒に生きてくれてありがとう。」
愛の言葉も、感謝も、悲しみも、寂しさも
たくさんあるはずなのに、どれのひとつも言葉に出来なかった。
からっぽの体を、その毛並みを、感触を、手に染み込ませるように
たくさん撫でて、ただただ声もなく泣いた。
地下のライブハウスで
ライトを浴びながら汗塗れで楽器を鳴らす3人の男
誰かのためじゃねぇ
おまえのために歌いにきた
おれたちは
おまえにロックンロールを歌いにきた
生きてくれって歌いにきた
愛してるって歌いにきたんだ
誰も言ってくれなかった言葉を
はじめてくれたのは
ステージの上でギターを掻き鳴らすバンドマンだった
辛かったね、しんどかったね、苦しかったね
そうだけど
そうじゃないんだよ
いまだに乗り越えられちゃいない
それらを背負って、今日も生きてるんだよ
なぁ
おまえら
死なないでいてくれて
生きていてくれてありがとう
その言葉に救われて
今日もサンボマスターを聴きながら
生きていくんだ
「便りがないのが元気な証拠」
あなたの口癖だったわね。
老眼だってボヤいてる割には、スマホばっかり見て。
知ってるんですよ?
お休みの日に、犬の散歩だって言いながら
普段行かない公園まで足を運んでいること。
他愛もない写真を良く撮るようになったこと。
若い子の流行りを気にするようになったこと。
会話のきっかけを、探していること。
ゆみ、仕事はどう?一人暮らしやっていけそう?
困った事があったら、お父さんに連絡しなさいね
ああ見えて、結構心配性だから(笑)
5月の連休にそっちに遊びに行くので
3人でご飯でも食べましょう(^^)
無理せず、体に気をつけて頑張りなさいね。
御山の雪も土に被る程度まで溶けてしまった。
湿った土の下から新芽が芽吹き始めている。
風はまだ少し冷たいが、
薄い雲の間から射す陽の光が温かだ。
春ってやつが直ぐ側まできて、
煩わしそうにこちらを視ている。
「君はもう用済みだろ?さっさと退いてくれないか?」
もう僕の季節だ。
こいつとはいつまで経っても反りが合わないな。
「わかってる。」
他の植物に先駆けて咲いた木瓜の花を優しく撫でると
「またな。」
そう言って、冬は風に乗って去っていった。
御山に今年も、春が来る。
肩まで伸ばした地毛の黒髪を1つに束ね
控えめな化粧
服装は色味が少なく極めてシンプル
勤務態度は極めて真面目で特に目立った人ではない。
それが、会社での私に対する印象。
でも、それでいい。
平和に社会生活を送るのならば
印象に残らず、恙無く生活するのが一番いいのだ。
日曜日の夜
煙草の煙で燻る入口
小さなバーカウンター
重低音のサウンド
響くシャウト
ヴォーカルの煽りに
オーディエンスは掻き立てられ
モッシュ、ダイブで沸き立つフロア
キャパ100もない小さな"箱"
音に全てを委ねられる
生きていると実感できる
私が、私に戻れる
秘密じゃないけど秘密の場所