夕づつ

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8/19/2023, 12:24:59 PM




 幼い頃から 
 執着心はあまり強くなかった
 諦めるのも早かった

 今泣いたカラスがもう笑ったと
 よくからかわれた


 いつまでも捨てられない
 大切な物は
 両親とあのひとの
 形見の品だけで
 それも最小限の数


 死ぬ時には
 何も持っていけないのだから
 本当に大事なモノは
 心に刻んでおけばいいという
 この頃の心境

 断捨離で
 物欲も殆ど消えた






 # いつまでも捨てられないもの(250)

8/18/2023, 11:44:00 AM


 

  誠実 

  勤勉 

  実直 

  剛毅 

  清廉  

  正直

  温厚 

  柔和 

  寛大 
  

 

  あなたは
  その背中で

  常に
  人としての生き方を
  教えてくれました

  そして
  最後に教えてくれたのが

  死への
  旅立ち方でした




  お父さん


  今日も
  あなたの
  愛の大きさを
  しみじみと思う
  わたしです


  あなたの
  娘であることを
  心から
  誇らしく思う
  わたしです






         # 誇らしさ(249)

8/17/2023, 11:15:42 AM



  あなたは 
  知っているかしら

  雨は 
  天使たちのお喋りで

  雪は
  女神の溜め息だということを



  あなたは 
  知っているかしら

  真珠は
  貝の涙の雫で

  波の音は 
  人魚の歌声だということを



  あなたは 
  知っているかしら

  太陽の子供は
  ひまわり草で

  月の恋人は
  宵待草だということを



  あなたは 
  知っていたかしら

  わたしがあなたを
  だれよりも愛していたことを





      ☆ 知っていたかしら (248)

8/16/2023, 11:05:51 AM



  送り火を焚いて
  あなたを見送る
 

  次に逢えるのは
  萩の花が零れ
  曼珠沙華が咲く
  秋の彼岸


  あなたを偲びながら
  月日を数え
  季節を重ね

  諦めのなかで
  悲しみや寂しさは
  徐々に
  薄められていくのだろう




  送り火の煙は
  空へと
  立ちのぼり

  あなたが
  帰って 
  行く





          ☆ 送り火 (247)

8/15/2023, 11:59:00 AM



  花が開くように
  密やかに
  夜が訪れるとき


  記憶された
  わたしの中の過去が

  ひとつづつ
  小さなうねりとなり
  打ち寄せる波となって

  こころの奥に凍結させた
  ひとつの想いを
  静かに融解し

  空虚な夜の海へと
  誘います



  遠いあの日

  ガラスのこころで拒絶した
  あなたの手のぬくもりも
  あなたの淋しい嘆息も

  今であれば 

  優しさだけで
  包むこともできたでしょう…




  想いは
  深い海の中

  もう
  ひとすじの月明かりさえ
  届きません





           # 夜の海 (246)

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