はた坊

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2/17/2023, 5:44:00 AM

#33 『誰よりも』


男「きみのために歌うね」
女「うれしい」

男「♪世界中の誰より“も”きっと~」
女「ちょっ、ちょっとストップ」

男「なに?」
女「『世界中の誰よりきっと』じゃない?」

男「いや、いいんだ」
女「なんで?」

男「“も”というのは、副助詞で同類・並列、そして強調の意味があるんだ。
ここでの“も”はもちろん強調の“も”。世界中の誰より、負けないくらいってことだよ。
それに、僕が伝えたいのは……」

女「ごめん、帰る」

2/15/2023, 9:58:01 PM

#32 『10年後の私から届いた手紙』

私は時空間移動、つまりタイムトラベルを研究している。

そんな私に一通の手紙が届いた…。

差出人は私の名前だ。

「?」
私はとりあえず封を開けた。

『10年前の私へ…』

私は驚いた。

…有り得ない。
…そんなわけない
…絶対にそんなことはない!

これは誰かのイタズラに決まってる!
絶対に有り得ないんだ!


………私が手紙を書くなんて。

2/14/2023, 1:49:19 PM

#31 『バレンタイン』

ピッ!
「141円になります」
100円玉と50円玉がトレイにのる。

「ありがとうございます」
小さな手の平にお釣りを手渡す。

『パッパー!バレータイィ』
外で待っていた父親にピョコピョコと駆け寄っていく。

……あぁ、俺も結婚したいなぁ

2/13/2023, 1:08:04 PM

#30 『待ってて』

ここで待ってて、と言って、
マサルくんはどこかに行ってしまった。

僕は言われたとおり、いつも遊んでいる公園のブランコに揺られながら、待っていた。
オレンジ色だった空がいつの間にか深い藍色に変わっていった。

そろそろ家に帰らなきゃ。
ママが心配しちゃうな……。

でも僕が帰って、マサルくんが公園に戻ってきたらどうしよう。

約束を破ったら、マサルくん怒るかな、それとも悲しむかな。

僕は少しオレンジ色が残った空の上の三日月を眺めていた。

あの三日月がいなくなったら、帰ろう。

もしマサルくんが怒ったり、悲しんだりしたら、三日月が家に帰ったからって言い訳をしよう。

僕は三日月を眺めながら、大きくブランコを漕ぎだした。

2/12/2023, 12:39:43 PM

#29 『伝えたい』

大好きなカオリさんと今日は初デート。
ニコニコ笑っいて、やっぱりカワイイな。

でも、思わず顔が強ばる。
僕は伝えられずにいた。
あの一言を。

カオリさんが素敵すぎだから。
僕の話を楽しそうに、すべて聞いてくれている。

だから、だから、あの一言が伝えられないんだ。

伝えたい…
ただこの楽しいひと時が全て壊れてしまいそうだ。

そんな僕の様子を察したのか、
目の前のカオリさんが、心配そうな顔をして
じっと見つめてくる。

…ステキ、素敵すぎる。

……もう我慢できない!

意を決してカオリさんに伝えた。




「トイレに行ってきます!」

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