#53 『二人ぼっち』
世界で二人ぼっちになった
よりによって、こんなおばさん
いや、バアさんと二人だなんて…
「ゴメンなさいね」
何が面白いのかニコニコしている
大きなため息をつく
こうゆうときはイケメン王子様、
いや、いけ好かないワイルド系がお約束なんじゃないの
ドラマとか映画とか、そういう設定でしょ
「こんなおばちゃんと二人で」
「………」
すると、雲が晴れて、夕陽が射し込む
二人はそっちを観る
沈んでいく夕陽
私は大きく息を吐いた
「よしっ」
とりあえず今日を二人で生き抜くか
#52 『過ぎ去った日々』
タイムマシンを作った
たった一人で
とうに還暦を超えてしまった
友と呼べる人も愛し愛される人はいなかった
ただタイムマシンを作っても若返りはしないし、過ぎ去った日々は取り戻せない
そこで若かりし自分にやり直して欲しいと思った。
そうすれば今の私にも友や愛する人ができるかもしれ………
私はタイムマシンを壊した
今の私に友や愛する人がいても多分苦しいだけだ
私は孤独を楽しむことにした
#51 『月夜』
私は月から逃げている。
だって、狼オンナに変身してしまうから。
特に満月の夜は最悪だ。
それはもう…毛むくじゃら。
エステで永久脱毛しても生えてくる。
以前、イケメンといい感じになったとき、
今夜は雨だから大丈夫だろうと油断したら…
…毛むくじゃら。
月夜のない世界を探し求めて
私は月から逃げている。
#50 『絆』
俺たちは固い絆で結ばれている
どんなときも、仲間が困っていれば何を置いても駆けつける
この絆はどんなことがあっても、
切る事はできない
僕は固い鎖で繋がされている
どんなときも、こちらの都合も考えず集合がかかる
この鎖をすぐにでも断ち切りたいが、
切る事ができない
#49 『たまには』
ここはどこだ?
駅の灯り以外は真っ暗で、灯りからは生い茂る木々しかない駅にいるようだ
飲んだ帰りに、たまには違う電車に乗ってみようと思い、寝てしまい
そして目が覚めて、慌てて降りたらコレだ
スマホを見るが、駅以外に周りに何も無い
拡大しても、近くの道まで数キロありそうだ
その道まで出てって、どうやって帰る?
そもそもこんな山の中タクシーなんか通らないだろうし…
祈る気持ちで時刻表を見るが、さっきのが最終だった
…どうしよう
ずっと誰も座っていないだろうベンチをとりあえず手でサッと払い、座り、天を見上げた
…アイツは今ごろ
煌めく星に感動することもなく、そのまま僕は眠りについた