掛け時計の針が止まっている。
正確に言えば、4時36分12秒あたりで
ビクッビクッと痙攣している。
いま、何時なんだろう?
部屋の明かりをつけたまま、寝てしまっていた。
外はまだ暗く、とても静かだ。
…と言うよりは無音だ。
……たぶんまだ寝てても大丈夫だろう。
だって時が止まったままなのだから。
#23 『時計の針』
海外へと旅立つキミと保安検査場へ俯いたまま並んで歩く。
伝えたいことはたくさんあるのに、黙ってしまう。
キミが検査所へと入っていく間際、こっちを向いた。
「じぁあね」
下を向いていた目線をチラッとこっちへ向ける。
言いたいことが溢れてくる。
溢れる気持ちちを、想いを
全部言葉にして伝えたい。
「……うん、また」
#22 『溢れる気持ち』
継母に毒リンゴを食べらされ、永遠の眠りについた白雪姫。
悲しむ小人たち。
そこへ白馬に乗った王子様が通りかかる。
その白雪姫に一目惚れした王子様は白雪姫にKissをする。
(……………え?
何かされてる?
……Kiss?
……Kissされてるぅ!
誰?誰なの?
ちょっ、怖くて目を開けられない…
でも、ちょっと薄目で……
……ブロンズ
……鼻は高そう
近すぎてわからないけど、イケメンそうね
とはいえ、とはいえよ
誰?誰なの?
私が美しいからって何しても……
ん?
小っさいおっさんが何か言っている…
オージ?オウジサマ……王子様!!
マジで!!
ナニナニ、この展開
リンゴ食べたら苦しくなってぇ
あー、なんでもいいや
……!!!
……うわっ〜!!最悪ぅ!!
歯を磨いてないじゃんー!!!
大丈夫かな?
嫌われてないかな?
とりあえず終わらせるか)
目覚めた白雪姫。
王子様は顔を上げる。
「私の妻になってくだ……」
「喜んで!!」
#21 『Kiss』
「1000年先も、2000年先も美依を愛してる」
(めっちゃ嬉しいぃ!
2000年先ってことは、ずっーと、ずっーーと
私のことを好きってことでしょ。
えっえっ、ちょっと待って。
1000年、2000年先って、私ババアじゃん!
しわくちゃじゃん!
どんなにケアしても無理ゲーよ。
…流石に死んでるか。
ん?ってことは生まれ変わってもってこと?
無理無理むりむり!
生まれ変わるたび、
違う人と好きになりたいじゃん!
っていうか、カズくん粘着系?
ストーカー?
怖い怖い怖い怖い!
GPSアプリ入れられてるかもしれない!
あとでノブくんに調べてもらおうっと)
「美依、どうしたの?」
「うん、すっごく嬉しい❤ありがとう」
#20 『1000年先も』
春になると、必ずそこには勿忘草が咲き出す。
しかも年々、数が増えている。
そのたび、最後のキミの笑顔が蘇ってくる。
花言葉を知ったとき、僕はこの青紫の花を荒々しく引っこ抜いた。
この花の下から、キミが今にも姿をあらわしそうで。
この手で確かに、この手で…。
#19 『勿忘草』