タイムマシーンが完成した。
しかもこのタイムマシーンは自分の願ったタイミングに行くことができる代物だ。
そこで自分の最期を見に行くことに決めた。
これからどんな人生を歩むのだろう。
このタイムマシーンで大金持ちになるのだろうか。
それとも素敵な女性と巡り会い、その子供たちに囲まれて、最期を看取られるのだろうか。
いやきっと両方だろう、間違いない。
ニヤニヤする口元を抑え、スイッチを押した。
・・・・・・
ドンッ!!
着いた・・・・・・のか?
さっきと風景が変わってない。
・・・時計を見た・・・・・・同じ時間・・・だな?
正確には10秒経っている。
・・・何か違和感、ゆっくりと下を見る。
・・・・・・赤い血が流れ出ていた。
よしっ!成功
・・・ドンッ!!
#8 『タイムマシーン』
ようやく街も寝静まったか。
ったく、最近はこんな夜更けまで明るくて、やりにくいったらありゃしねぇ。
人感センサーのついたライトや監視カメラとか、防犯対策が厳重になってきてるからな。
家業とはいえ、家に忍び込むってのも骨が折れる。
じいさんの時代は忍び込み放題だったんだろうなぁ、なんて愚痴ってもいられない。
移動係の相棒が待っているし、さっさと仕事にかかろう。
・・・
何とか家の中に入れた。
お目当ての部屋へと行くか。
ここだな。
可愛い少女が寝ているが、起こさないように作業に取り掛かるとするか。
・・・・・・
手っ取り早く作業は終わらせたから、ずらかろう。
しっかし、可愛い少女だ。
家の住民には起こすのはご法度だが、こんなに可愛いんだから、仕方ないだろう。
と、髭もじゃの顔を少女に近づけた。
「Merry X'mas」
#7 『特別な夜』
父の遺灰を海へと撒いた
空の男であった父からの、たっての願いであった
しかし、何故?
雲一つない青空を見上げ、ふと思った
確か空に散骨はできるはずだ
『空のことは大抵知り尽くした』
引退した時の父の言葉を思い出した
っとしてもだ
爽やかな空の青さとは違って
ほの暗い海の青は吸い込まれていきそうだ
遺灰は波にさらわれ、もまれ、
ついには海の底へと沈んでいくかもしれない
光の当たらない未知の世界
いまとなっては海へと飛び立った父の想いを知る術は無い
#6 『海底』
君に会いたくて 狭い道を通り抜けた
きみに会いたくて 暗い道を走り抜けた
君に会いたくて スマホをパッと開いた
きみに会いたくて スマホをソッと開いた
君に会いたくて 深い眠りについた
きみに会いたくて 眠れず朝を迎えた
君に会いたくて 口紅をスっとひいた
きみに会いたくて 小箱をソッと隠した
キミに会いたくて 腕組み君のもとへ歩いた
キミに会いたくて 腕組み歩くきみを見つめた
キミに会いたくて 君と愛を誓った
キミに会いたくて きみと愛を誓った
キミに会いたくて 瞼をグッと閉じた
キミに会いたくて 掌をグッと握った
きみと君に会いたくて 暗く狭い道を通り抜けた
#5 『君に会いたくて』
一枚の絵がある
タイトル『閉ざされた日記』
しかし、目の前の絵の日記は開いている
・・・はて?
開いているのに閉ざされている?
ん?
その日記には小さな文字が
「・・・・ナ」
「・・タナ」
「ミタナ」
・・・・・・・・・ワタシハダレ?
#4 『閉ざされた日記』