「入道雲ってさ 夏にも多いけど 大雨の前にも多い雲だよね」
「夏もワクワクだし、雨も部屋でごろごろできて良いよねぇ。」
「でも夏は暑いし、雨の日はなんにもできない。」
「結局、どの道を選んでも不幸も幸運もある時があるんだよね。」
「そんな状況でも生きてける君には尊敬しちゃう、な」
「表向きはワクワクするけど胸焼けするくらい暑苦しい方か
ひんやりしてて何もできないかもしれないけど落ち着けるような方、
君はどっちを取るのかな?」
窓から覗く入道雲を眺めながら
動かなくなった俺の彼女の体は
口だけを動かして俺に語りかけてきた。
「お前となら、どっちでもいいよ。」
溢れ出る涙と共に、君の少しずつ閉じる瞳。
「入道雲、最後に見れてよかった。」
「「愛してる」」
生気の無くなった頬に
静かにキスをした
#入道雲
「もうすぐ夏だね」
梅雨の終わりかけに 君はそう呟いた
蒸し暑い温度に 涼しげなみんなの服装。
わたしにとって 夏はトラウマ。
むかし好きな人に裏切られた季節。
もう 恋をすることは怖さでしかない。
なのに凝りもせず 君に恋をした
━━━君なら他の人たちとは違うかもしれない。
「そうだね」
何度も経験したこの感情に
僅かな希望を抱きながら
静かに 静かに、
キミ達とは違う 君なら、
なんて…
馬鹿みたい。
自嘲しつつも人生が輝いてみえた。
#夏
これが天職ではないと理解していても
天職が何かわからないし やりたいこともない
かといってこのままがいいわけでもない
ここではないどこかで
輝けるはず。
#ここではないどこか
根暗なあの子は
今では一軍に
勉強家なあの子は
今ではサボり魔に
自殺未遂の子は
今では幸せなリア充に
彼氏がいたあの子は
今では結婚を約束したカップルに
じゃあ
わたしは?
1年経っても
かわらない
あなたは…
ここにいる、わたしを見ているあなたは
1年経ってもかわらないのかしら。
#1年後
君の好きな色は?
そう聞かれたから、わたしは絵の具で混ぜて作った好きな色を見せた。
色がぐちゃぐちゃ混じってるけど、
この色が好き。自分の個性を詰めた色。
そしたら、
「何この色!全然だめだよ。もっと綺麗な色じゃないと。」って。
こんな風に
自分の好きなものを
否定する人が世の中たくさんいる。
そんなこと言われていると、
だんだん絵の具の色が濃いまま。誰にも認められないまま。
紙に馴染まなくなって
生きづらくなる。
―でも、水を与えるように
「その色個性的でいいね!」「その色の作り方教えてよ!」
ってやさしい言葉の水をあげれば
その色も紙に馴染んで周りが見やすくなる。
どのくらいの水の量で
どのくらいの絵の具の濃さで生きていくのか。
その絵の具でキャンバスに絵を描くのが人生だと、
わたしはおもう。
#好きな色
ーあとがきー
水の量は他人の言葉、
絵の具は自分の色だと解釈すると
わかりやすいかなと思います。