「入道雲ってさ 夏にも多いけど 大雨の前にも多い雲だよね」
「夏もワクワクだし、雨も部屋でごろごろできて良いよねぇ。」
「でも夏は暑いし、雨の日はなんにもできない。」
「結局、どの道を選んでも不幸も幸運もある時があるんだよね。」
「そんな状況でも生きてける君には尊敬しちゃう、な」
「表向きはワクワクするけど胸焼けするくらい暑苦しい方か
ひんやりしてて何もできないかもしれないけど落ち着けるような方、
君はどっちを取るのかな?」
窓から覗く入道雲を眺めながら
動かなくなった俺の彼女の体は
口だけを動かして俺に語りかけてきた。
「お前となら、どっちでもいいよ。」
溢れ出る涙と共に、君の少しずつ閉じる瞳。
「入道雲、最後に見れてよかった。」
「「愛してる」」
生気の無くなった頬に
静かにキスをした
#入道雲
6/29/2023, 10:12:35 AM