「きっと明日も」
同じ時間に
同じ場所にいて
いつも同じ格好をした君は
きっと明日も僕に優しく微笑んでくれると信じて
『窓から見える景色』
私はもともと心臓が弱く、心臓の病気も患っており、生まれてから入退院を繰り返していた。
退院といっても1週間ほど。私の体調も優れ、お医者さんからの許可が降りたら退院して家に帰ってきているけど、ほとんどが病院での生活。
病院の中にずっといれば退屈だと思われるかもしれない。けど、看護師さんとかとお話したり同じ歳の子で入院してる子とかとお話したりするのも結構楽しい。
でもやっぱり外の世界には憧れる。新しいスイーツ屋さんが出来たとか、隣町に大型ショッピングモールができたとか。耳寄りな話を聞くとすごく行きたいなと思う。家族と動物園に行ったり、水族館に行ったり、遊園地に行ったり…出したら止まらないほど。
外の世界に行くことは出来ないが、見ることは出来る、「窓」
目の前にスイーツ屋さんも、ショッピングモールもないからそれは見れない。
けど、自然は見える。
いつも、自分の病室の窓から外の世界を見ている。
私はいつもこの窓という存在が好きで、暇さえあればずっと見ている。
窓からは同じ景色しか見れないけど、空の色も日によって違うし、季節によっても咲く花、飛び交う虫たちは違い、葉の色や木の葉の量なども変化している。本当に同じ場所から見ている景色か疑うほど。まさに十人十色。
私はこの「窓」が外の世界の情報を寄せ集めて、小さな枠組みに一纏めにしてくれているみたいで、好き。
『形の無いもの』
客観的に見れば、人と人の関係、抱いた気持ちなどは「形の無いもの」かもしれない
だけど、自分、自分たちで作り上げたものと考えれば形あるものでは無いだろうか。
作り上げたその成果としてその「もの」ができあがると考えれば、
普通に考えてみれば形の無いものなのかもしれないものも、よくよく考えてみれば形のあるものとして見えるのではないだろうか。
『ジャングルジム』
今日は満月だというから、彼と月を見に行くことにした。
まだ低い位置に月があって、自分たちの目線からは建物に隠れて月は見えなかった。
ちょうどいい高さが無いかなと思いながらうろうろしていると道路沿いにある公園のジャングルジムが目に入った。
「あそこから見るのはどう?」と指を指し、彼に問い掛けると、「いいかも。」と一言。
遊具もたいしてない、小さな公園だった
その中で大きなジャングルジムは目立っていた
ジャングルジムはペンキがとれていてとても綺麗な色とは言えなかった。
ところどころ錆のあり、ザラザラする棒を掴み、登る
体が大きくなった今では、登るのもやっとだった。ジャングルジムから抜けれなくなったらどうしようなんて笑いながら登って行った。
「ジャングルジムなんて久しぶりだな」彼が私に微笑みかけると、なんだか童心に帰った気がした。
子供の頃、遊んだのが最後かもしれない。なんだか懐かしい感じがする。
頂上に登り、ジャングルジムに腰掛ける
「あっ、月!」
満月が見え、
私が声を出すと彼も
「ほんとだ」
と、声を発する
この時、見た月は本当に綺麗だった。
黄色の光を放つその存在感は人の手で作れる、人工的なものでは表せれないと思う
兎が餅をついてるのかなあ、とか、いろいろ考えさせられる
昔懐かしいジャングルジムで見たから、あの頃の純粋さも、綺麗に走馬灯のように見えたのだと思う。
『声が聞こえる』
必死に私を呼ぶ声が聞こえる
「いなくなったら、寂しいよ」
貴方に言われたかった。
その声が聞きたかった。
誰かに必要とされている
それだけでも自己満足ができる