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『ジャングルジム』

今日は満月だというから、彼と月を見に行くことにした。
まだ低い位置に月があって、自分たちの目線からは建物に隠れて月は見えなかった。
ちょうどいい高さが無いかなと思いながらうろうろしていると道路沿いにある公園のジャングルジムが目に入った。
「あそこから見るのはどう?」と指を指し、彼に問い掛けると、「いいかも。」と一言。

遊具もたいしてない、小さな公園だった
その中で大きなジャングルジムは目立っていた

ジャングルジムはペンキがとれていてとても綺麗な色とは言えなかった。
ところどころ錆のあり、ザラザラする棒を掴み、登る
体が大きくなった今では、登るのもやっとだった。ジャングルジムから抜けれなくなったらどうしようなんて笑いながら登って行った。
「ジャングルジムなんて久しぶりだな」彼が私に微笑みかけると、なんだか童心に帰った気がした。
子供の頃、遊んだのが最後かもしれない。なんだか懐かしい感じがする。

頂上に登り、ジャングルジムに腰掛ける
「あっ、月!」
満月が見え、
私が声を出すと彼も
「ほんとだ」
と、声を発する

この時、見た月は本当に綺麗だった。
黄色の光を放つその存在感は人の手で作れる、人工的なものでは表せれないと思う
兎が餅をついてるのかなあ、とか、いろいろ考えさせられる
昔懐かしいジャングルジムで見たから、あの頃の純粋さも、綺麗に走馬灯のように見えたのだと思う。

9/24/2022, 6:43:09 AM