日本のいいところは四季があること、なんて言われるけれど。
四季なんてなくていい。ただ過ごしやすい気候がずっと長く続けばいい。願うのはそれだけだ。
せっかくの休みは雨だ。仕事の日は気持ちいいくらい晴れているのになぜ。嫌になってしまう。
【お題:梅雨】
何もかもおしまいだ、と思ったあの日から、10年が経った。
【お題:終わりなき旅】
「ごめんね」
「いいよ」
「ホントごめん」
「いいってば」
「ホントにホントに……」
「分かったってば!」
振り返ると、そこにはずぶ濡れの友梨がいた。
【お題:「ごめんね」】
「あーちゃんあーちゃん知ってる?」
「なあに」
「駅前の餃子屋さんね、めっちゃ美味しいらしいよ! インスタで話題になっててさ」
街頭の明かりの下、リリコはスマホを慌ただしくタップする。タップしながら、
「」
【お題:また明日】
「アヤちゃん、そいつは無理だ」
「いやいや」
「いやいやじゃなくて」
なんてことを言っている間に、手際の良い現地スタッフにより、俺の体には次々にベルトが装着されていく。
アヤちゃんは天使のように笑って、
「私のこと好き?」
「好きだよ」
「大好き?」
「大好きだよ」
「じゃあできるよね」
「なんで!?」
高い高い吊り橋の上。
「言ったよね? 私のためなら何でもするって」
「言ったよ。そりゃあね。頑張って働くし、家事もするし。煙草だってやめたしさ。でもこれは」
俺は橋の飛び込み台から眼下を見る。
「あんまりだ」
高過ぎて下の渓流が霞んで見える。
「タクちゃんならできるよ! 小さい頃から夢だったんだ。バンジージャンプでプロポーズしてもらうの」
「アーユーオーケー?」
「ノンノンノン!」
「オーケーオーケー!」
スタッフは爽やかな笑みで親指を立てる。
「待って待ってここのヒモ緩くない!?」
「グットラック」
愛があれば一歩踏み出せるよ。
そんなノリで、スタッフに背中を押されて。
「あああああ!!!」
【お題:愛があれば何でもできる?】