Morita

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5/29/2024, 10:39:12 AM

「ごめんね」
「いいよ」
「ホントごめん」
「いいってば」
「ホントにホントに……」
「分かったってば!」
振り返ると、そこにはずぶ濡れの友梨がいた。



【お題:「ごめんね」】

5/22/2024, 12:01:10 PM

「あーちゃんあーちゃん知ってる?」
「なあに」
「駅前の餃子屋さんね、めっちゃ美味しいらしいよ! インスタで話題になっててさ」

街頭の明かりの下、リリコはスマホを慌ただしくタップする。タップしながら、

「」

【お題:また明日】

5/16/2024, 10:49:10 PM

「アヤちゃん、そいつは無理だ」
「いやいや」
「いやいやじゃなくて」

なんてことを言っている間に、手際の良い現地スタッフにより、俺の体には次々にベルトが装着されていく。

アヤちゃんは天使のように笑って、

「私のこと好き?」
「好きだよ」
「大好き?」
「大好きだよ」
「じゃあできるよね」
「なんで!?」

高い高い吊り橋の上。

「言ったよね? 私のためなら何でもするって」
「言ったよ。そりゃあね。頑張って働くし、家事もするし。煙草だってやめたしさ。でもこれは」

俺は橋の飛び込み台から眼下を見る。

「あんまりだ」

高過ぎて下の渓流が霞んで見える。

「タクちゃんならできるよ! 小さい頃から夢だったんだ。バンジージャンプでプロポーズしてもらうの」

「アーユーオーケー?」
「ノンノンノン!」
「オーケーオーケー!」

スタッフは爽やかな笑みで親指を立てる。

「待って待ってここのヒモ緩くない!?」
「グットラック」

愛があれば一歩踏み出せるよ。
そんなノリで、スタッフに背中を押されて。

「あああああ!!!」

【お題:愛があれば何でもできる?】

5/12/2024, 5:24:48 AM

めちゃめちゃ足が痛い。歩き疲れた。夜通し歩いていた。

なんでそんなことをしたのか。
終電を逃したからか。否。
誰かを探していたのか。否。
忘れたい恋があったのか。否。

理由はもっと簡単だ。歩きたくなった。それだけだ。なのに人には理解してもらえない。人はどこまで歩くことができるのか。試したくなったのだ。

これがマラソン大会なら沿道で声援もあったかもしれないが、勝手に一人で歩き出したものだから、すれ違う人に変な目で見られるのが関の山。

空には星が煌めく。行き交う車のヘッドライトが俺を照らしては通り過ぎていく。

ごめん、今日帰れないわ。

LINEでメッセージを送った時、家族の反応は冷たかった。馬鹿じゃないの。なんでそんなことを。何かあっても知らないからね。

海沿いの道を行く。左手側には街灯や民家の明かり、飲み屋の看板が光っている。右側は海。吸い込まれそうなほど真っ暗だ。光と闇。生と死。俺はその瀬戸際をただ歩き続ける。

自分を愛したかったのかもしれない。尋常でない距離を夜通し歩き通すことができたら、なんの取り柄もない自分を認められる気がして。

牧場ミルキーソフトクリーム1.5倍増量。

突然目の前に現れたのぼり旗。知らない街に佇む見慣れたコンビニ。

ここのソフトクリーム、美味しいんだよな。知ってる。1.5倍増量。駄目だ。ここで立ち止まったら、疲れ果てて二度と動けなくなる気がする。せっかくここまで来たのに。

目をつぶれ。俺は何も見ていない。牧場ミルキーソフトクリームなんてものはない。ストイックであれ。さすれば報われる。

「おーい」

呑気な声。振り向くと、ソフトクリームを食べている姉貴。
コンビニの駐車場には見慣れた車が停まっていて。

姉貴が車の中に向かって、

「あいついたよ」

運転席の窓が開き、親父が身を乗り出してこちらを向いた。不機嫌な顔で、乗れ、と手で合図している。

あともうちょっと歩いていたかったのに。そんな思いもあったが、気付けば車の方へ吸い寄せられていて。

お腹がぐるると鳴った。そういえば、お腹が空いていたっけ。

「アイス食べて良い?」
「勝手にしろ、馬鹿」


【お題:愛を叫ぶ。】

5/6/2024, 9:21:06 AM

君と出逢って初めて、僕は自分が狼人間であると気付いたのだ。



【お題:君と出逢って】

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