平穏な日々だと思っていた。
編み物の途中でふと顔を上げると、シャボン玉がひとつ、リビングに浮かんでいた。
庭でフーコが遊んだものが紛れ込んだのだろう。
違う。フーコはもう成人して家を出て行った。
雪雄さんが庭で洗車した泡が入ったのか。
それも違う。雪雄さんは今病院に行っていて。
近所の保育園から、でもない。あそこは移転して、今は灰色の月極駐車場になっている。
ふと気づく。家の中がしんと静まり返っていること。
子育てが終わり、平穏な日常を手に入れたと思っていたけれど。
こんなに空っぽだったっけ。
シャボン玉は音もなく、風もない中で、なぜか落ちることなく割れることなく、私とリビングの景色を映しながら、漂い続けている。
【お題:平穏な日常】
モンテカナゴ語で「愛と平和」と書かれたTシャツを着た社長が、僕の派遣契約の更新をするつもりはない、と言った。
「うちも厳しいんでね。まあユウちゃんは他のところでもやれるっしょ」
モンテカナゴの海で一週間焼けた社長の肌は健康そのもので、首元にはネックレスをつけていた形跡がある。そこだけうっすら白いのだ。
「あの、入った時は6ヶ月の更新だって……」
まだ3ヶ月なのに。
「あーね。うちも色々状況が変わってね。じゃ、午後の仕事もよろしく」
社長はそう言って休憩室に戻って行った。僕は小さな工場の裏でひとり立ち尽くす。
サヌルール・ダ・ポンポンテ。
愛と平和。
ほんとにそんなもの、あるのかな。
社長からもらったモンテカナゴ土産のナッツバーを、僕はひとりでかじった。
やっぱりコンビニおにぎり一個じゃ、お昼は足りないや。
【お題:愛と平和】
後で書きたい
【お題:絆】
大好きな君に、贈るものがない。
実はあったんだけど食べちゃって、ケーキ。
ケーキは美味しい。抗えなかった。
だからそもそも贈り物なんてなかったことにして、週末ちょっといいレストランでご馳走してごまかそう、と思っていたけれど。
「食べたでしょ」
なぜだ。包装紙は見えないように捨ててお皿も片付けて、もちろん口元に生クリームなんてつけてないか確認して、君の帰りを出迎えたというのに。
「なにを?」
すっとぼけてみる。
「ケーキ」
駄目だ。全部お見通しだ。
【お題:大好きな君に】
新シリーズのレンジャーは全員ピンクだって? オダイリサマーとカンジョもピンクで? 見分けつきます?