蜜柑

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3/25/2025, 10:23:16 AM

ふとその名前を見つけた時。私の脳裏に走る何かがあった。けれどその何かがどういうものかまではわからない。ただ脳に、一一恐らくは記憶に。何かが訴えかける感覚しか分からなかった。しかし私の口からは思わず言葉が漏れ出す。「一一よかった」何が良かったのか? そんなこと、何も分からないけれど。頬を伝う雫があることに気づいて、きっと、本当に良かったことがあったんだろうなと。そこで思考を閉ざしてその場を離れた。

3/24/2025, 10:16:14 AM

「もう二度と、あなたとは会いたくない」そう告げた君はただ苦しそうに顔を顰めていた。「……どうして?」浮かんだ言葉は色々とあったはずなのに、結局その疑問だけが口から漏れ出す。君はただ静かに、けれど苦しそうに言った。「……あなたを、不幸にしたくないから」君はそう言って離れていく。伸ばした手は届いたのに。君は振り払ってしまった。「……さようなら」告げた言葉に、遠ざかる背中に。僕は、何も出来なかった。これ以上何かを言い募ることは出来るけれど、結局それだけが事実だった。--君のいない、春が来る。君の姿は、もうどこにも見えなかった。

3/23/2025, 5:52:46 PM

目を覚ましカーテンを開けたそこには、どこか暗い雰囲気の街並みが見える。どうやら今日は曇りらしい。天気予報を見れば案の定そこには雲のマークがあって、少しだけ心は薄暗くなる。そこでパチンと、頬を叩いた。今日は、好きなことをしよう。出かけるのは少し面倒くさいから、家で過ごせることをして。冷蔵庫には何が入っていただろうか。先日買い物に行ったばかりだから、きっと作れるものは沢山ある。朝ご飯を作って食べて、そしてココアでも入れてみようか。それも終われば部屋に引きこもって。まだ読み途中の本があったから、その本と、あとはまだ読んでいない本を持ってきて読んでみようか。気持ちがどんよりと曇ってしまいそうな日でも、工夫次第で楽しくなる。それを、証明してみようじゃないか。