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2/17/2025, 4:28:15 PM

幼い頃の事故が原因で私は感情表現が乏しい子供だった。そんな私に両親がプレゼントしてくれた舞台のチケット。幕が上がり舞台に立った少年が歌い始めた瞬間、私は心臓の鼓動が早まるのを感じた。灰色だった世界が急に色づき始めて、輝きを放っていたんだ。まるで魔法だった。彼は私の太陽になり、私の人生を美しく照らす光になった。そうして私は太陽が沈むと月が昇ることを知る。身を焼き尽くすほどの太陽と淡く儚い帳を下ろす月。私は躊躇せず月に手を伸ばす。少年には感謝しているんだ。彼のおかげで私はいま月の隣に居るのだから。

2/16/2025, 12:17:02 PM

人付き合いに潔癖のきらいがあるアタシの胸の内に、アンタは土足で踏み込んできた。心底うんざりしたものだ。またか、こいつもか、って。それなのにアンタはまだアタシの隣に居るし、アタシもアンタの隣で笑ってる。耳に心地のよい声をいつまでも聞いていたかった。時間よ止まれ。アタシが魔法使いだったら叶えられたのかしらね。

2/16/2025, 10:08:35 AM

ねえ、どうしてだろう。キミが私の名を呼ぶと胸が高鳴って、美しい世界が更に色付いたように感じるんだ。大袈裟だとキミは笑うけれど本当なんだよ。いつか同じ景色を見られるようになればいいのに。キミの声がする。瞼を開くと、やっぱり世界は輝いて見えた。