幼い頃の事故が原因で私は感情表現が乏しい子供だった。そんな私に両親がプレゼントしてくれた舞台のチケット。幕が上がり舞台に立った少年が歌い始めた瞬間、私は心臓の鼓動が早まるのを感じた。灰色だった世界が急に色づき始めて、輝きを放っていたんだ。まるで魔法だった。彼は私の太陽になり、私の人生を美しく照らす光になった。そうして私は太陽が沈むと月が昇ることを知る。身を焼き尽くすほどの太陽と淡く儚い帳を下ろす月。私は躊躇せず月に手を伸ばす。少年には感謝しているんだ。彼のおかげで私はいま月の隣に居るのだから。
2/17/2025, 4:28:15 PM