〜光の回廊〜
ふと目を覚ます。
そこは、見慣れない空間だった。
「痛っ。」
頭を打ったような鈍い感覚が残り、
額を摩りながら記憶を探る。
誰かに運ばれたのか。
それとも、自分で歩いてきたのか。
曖昧なままだ。
「あっ、確か……千鳥足で……」
時刻は深夜二時。
誰の気配もないアーケードに、
鈍い照明が連なっている。
それは、
光の回廊のように、
帰り道だけを静かに照らしていた。
「……こっちで合ってるのか?」
〜降り積もる想い〜
ずっと気になっている。
きっと、好意なのだろう。
そう言い切れないのは、
素直になれない自分のせいか。
どこかで、
違うのではと疑ってしまう。
それでも、
答えが出ないあいだは、
この降り積もる想いに、
終止符は打てない。
まだ、
時間が必要だ。
〜時を結ぶリボン〜
普段から、写真を撮ることが多い。
何気ない日々も、出かけた先でも。
どうも記憶というものは頼りなく、
いつの間にか、曖昧になってしまう。
友達と昔の話をしていると、
写真は思い出せるのに、
その全体像が、うまく蘇らないことがある。
そんな時、
具体的なシチュエーションや、
ふとした言葉を覚えていた友人の記憶が、
一気に時を遡らせる。
欠け落ちていた記憶を、
そっと結び直すように。
それがきっと、
時を結ぶリボン。
〜手のひらの贈り物〜
公園のベンチにひとり座り、
そよ風の中、遠くを眺めていた。
両手を包むようにして、
男の子が駆け寄ってくる。
「はいっ。あげる!」
守るように摘まれた
四葉のクローバーが差し出された。
「……いいの?」
「いいよ」
男の子は走り去り、
手には小さな緑と、
触れたままの温もり。
手のひらの贈り物は、
幸運かは分からない。
それでも、
世界は少しやさしく見えた。
〜心の片隅で〜
いつも自信に満ち溢れ、
余裕さえあるよう振る舞う。
言わなければならないことは、
ハッキリと発言し、存在感を主張する。
間違いや過ちがあった際には、
きちんと謝罪をする。
当たり前のことばかりだ。
しかし、
心の片隅では、
本当にそれでいいのか?
我儘だと思われてないか?
要注意人物扱いされないか?
目立ちすぎてはいないかと、ひそかに迷う。
それを誰にも気づかせないまま。