無垢なあの子を好きになれたらどれほど良かっただろう。
わかってる。自分が汚いだけだって。
無垢を仮面だと思って、剥がして、その奥にある穢らわしい部分を見つけようとしてるだけだって。
でも、どれだけ話しても、綺麗な部分しか出てこなくて、ますます自分が欠陥品だと思う。
そしてまた嫌いになる。
世間では、そのままの貴方でいい、なんて言うんだろう。
だけど周りによって解決されるような問題じゃなかった。
世間が許しても私が許せない。
こんな意固地な部分もまた、汚い。穢らわしい。
自分の中身を丸ごと洗濯機に放り込んで、漂白剤をめいいっぱい入れて、柔軟剤も入れて、見た目も、香りも、元々ボロ雑巾みたいなものだったなんて分からなくなるくらい清潔なものにしないと私の気は済まないだろう。
そしたら次は容姿を綺麗にしようとするんだろうけど。
こんな貪欲さが源泉なのだろうね。
この源泉を枯らしてしまうか、それに耐えうるだけの器を用意すればどうにかなるだろう。
まあ、そんな方法も器の在り処も、知らないのだけれど。
誰か、教えて。
8.無垢
「ごめんごめん、忘れてた!」
は?
こちとら友達と通話するって親に嘘ついて1時間も待ってたんだけど。
お風呂も急いで入ったんだけど。
身体なんてとうに湯冷めしてるんだけど。
足先も冷えきってるんだけど。
こんなに軽いごめんなんて聞いた事ない。
自分が期待しすぎた?バイト入ってないか昼に聞くべきだった?電話の約束なんてするもんじゃなかった?
時間指定なんてしなきゃ良かったかな、嫌われたかな、なんて考えてたこの気持ちを返してよ。
でも、でも、
15分だけでも話せて嬉しかった。
7.「ごめんね」
昼間の雨は嫌いだ。
傘のせいで片手塞がるし、電車で綺麗な景色なんて見えやしない。花だって散ってしまう。
相合傘?馬鹿馬鹿しい。そんな相手なんているもんか。
でも1番落ち着いて考えられる時の天候だ。
寝る時、雨が窓を叩く音が睡眠への心地よい導入になったりする。
だから、寝る時くらいは降り止まないで欲しい。
傘なんて使わない夜に降る雨は、私の味方だと思わせてくれ。
ポロポロと鳴る音で、私の雑念を消して欲しい。
6.降り止まない雨
「時間を奪われた」と考えるのはあまり好きでは無い。
そんな事言ってしまえば、楽しかった時間さえ無くなってしまう。私は1人で何か楽しいものを生み出せるほどクリエイティブな人間では無いし、絶対に人と関わらないと楽しさは感じられない。
そもそも、何の時間を失うのだろう。
自分の時間?それとも友達との時間?はたまたクラブの時間?
自分の時間に関しては、無いのが普通だったから、逆にありすぎても持て余す自信しかない。それに、時間を持て余してしまえば確実に余計な事を考える。だから友達と遊ぶなりなんなりして予定を詰め込む。そして自分の時間が無いと嘆く。
私という人間は存外面倒臭いらしい。
ただ一丁前に時間を奪っている感覚はあるようだ。
私はフリートークが苦手だ。というか会話が終わった後の沈黙が苦手だ。自分から話を振っておいて、数パターンしか返せない。だから用のある会話しか弾まないのだろう。
目の前にいる人間1人すら楽しませられないなんて、時間を貰ってる身として本当に情けない。
5.失われた時間
君と出逢って、私は文末によって印象がガラッと変わる事を知ったよ。怒ってる時、楽しい時、落ち着いてる時と、優しくしたい時、全部違うんだね。
そこに気を付けられる様になって、画面上のみだけだったとしても、自分の気持ちの丁寧な隠し方を学べたよ。ありがとう。
あんたと出逢って、継続する事の集大成を知ったよ。
元の年月が違えど、私がもっとしっかり練習すれば、もうちょっと追い付けたのかな。
相棒って言ってもらえてたのかな。
後輩にそのポジションを奪われて、だいぶショックだったよ。
貴方と出逢えて、自分の形を知れたよ。
壁打ちみたいな対話で内面を知る貴方と沢山話せて、逆に私も内面を知れたよ。自分で思ってるより知ろうとしてなかったんだね。勝手にこうだと決めつけて、その中に籠ってたみたい。それはとても楽だったけれど、本心では少し窮屈でもあったらしいよ。
これからは自分の幅をもうちょっと広げようと思う。
それに気付かせてくれてありがとね。
私を縛り付けていた物達よ、君らと出逢えた事を、悪いとは思っていない。
ただ、私の羽を少しの間縛り付けていたんだね。
それに私は気付かなかったし、気付けなかった。
それは多分、忙しかったから、その中に含まれている微量の楽しさと優越があったから、だろうね。
今、君らと離れて、少し穴が空いたようだよ。でも、それと同時に、本当に、息をしているようだ。
全てをやりきった後の堕落した休日を過ごして、私は自分の時間を使えているよ。
誰かに緊急の連絡をしなくていい、ほぼ装備となりつつあるメイクをしなくていい、朝早くに起きなくてもいい。
嗚呼、なんて自由なんだ。
今暫く、お休みを頂くよ。
お疲れ様、全てを背負った私。
4.君と出逢って