「 心は透明で 」
「具合悪そうだね。顔色悪いよ。」
ふと君に言われ、鏡を一瞥する。青ざめた顔。黒いクマ。
なんでもないよ、と笑って返した私を、心配そうに見つめる君。
なんでもなくないのは、バレバレなのだ。見ればわかる程衰弱していたのだから。
「病院行ったら?」
「ゆっくり寝るといいよ」
「薬は飲んだ?」
私を心配してくれる君の言葉に、私のほしいものは無かった。
ちがうんだ。
私が本当に辛いのは
【心】なんだ。
顔色や怪我は目で見える。でも、心は透明で、見ることはできない。
透明の中に黒い渦が充満してるんだ。
見えないんだから、無かったことにしよう。
そのうち良くなるよ、と君に返した。
「 理想のあなた 」
まず、黄金比の形を用意します。
そこに健康な臓器を詰め込みます。
皮膚は色が白い方がいいですね、そうしましょう。
色素の薄い綺麗な瞳を押し込みます。
いいですね。
続いて、器を用意します。
その中に、優しさ、愛らしさ、自信、高い自尊心を流し込みます。
これで、完成です。
素敵ですね。
「 別れ 」
誰しもが必ず体験するもの。悲しいものもあれば、決意の表明だったりもする。
卒業、引越し、破局、死別。別れには色々な種類がありますね。
そんな別れですが、こうもいいます。
「別れがあれば出会いもある」と。
良く捉えれば、出会いのための別れとも言えるのではないでしょうか。さて、どうでしょう。
別れの時はいつも涙しています。別れとは辛いものなのでは、と思います。
ですが人間、避けて通れないものです。
私が貴方と別れる時は、脳みそにこびりついて離れないような別れ方をしたいと思います。それはもう、目の前で何かがぐちゃぐちゃに壊れる時のように。弾け飛ぶ時のように。貴方の脳みそを支配して、去ります。私は、そうします。
「恋物語」
少し前まで、私には縁の無いもの、と。愛だの恋だのを語る事ができるほど身近なものでは無いと、そう思っていました。あなたが現れるまでは。
初めは気軽に話せる友達でした。私が勝手に憧れ、好意を抱き、しかしながら伝えることはせず。あなたと話せるだけで私は満足でした。その関係が動いたのは、驚くべきことにあなたからでした。連絡先を聞いてくれて、「好き」という言葉をくれました。
私は何かの間違いだと思っていました。いえ、今も思っています。それくらい嬉しかったのです。
あなたから返信が来る度に心臓が跳ねる。何処かで、返事はすぐにしちゃいけないと聞いたことがありますが、そんなことかないません。1秒でも早く返事を返したい。そんな気持ちになってしまうのです。
浮かれていました。
否、今も浮かれています。
恋しているのは私だけかもしれません。あなたの「すき」は、友達としてでしょう。そうそう、「特別」だなんて言葉もくれましたね。私は今のこの気持ちを、恋だと思っています。
そんな、恋に鈍感で、へたくそで、臆病な私の、こいものがたり。
「 sweet memories 」
何も無かった私を 、
何にもなれなかった私を 、
何もかも嫌になってしまった私を 、
貴方はいとも簡単に手中に入れてしまった。
何かを得た私が 、
何になるか決めた私が 、
何でも受け入れられるようになった私が 、
ここに存在するのは貴方のおかげ。
この事実はゲロを吐きそうになるほど甘く私の記憶に残るでしょう。