NoName

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6/30/2023, 10:24:31 AM

「運命の人とは赤い糸で繋がれている」
…なんて、誰が言ったのか。実際ここ16年生きてきて俺は、「この人…!…運命だ!」なんて事起きた事ないし。
幼馴染とか、転校生とか。そんな漫画みたいな事は起きないし、期待するだけ無駄なのだ。
人でごった返す街中には、カップル…カップル…カップル……
「赤い糸で結ばれてんのかなぁ」
ボソッと呟き、空を見上げる。
俺にあるのは、夏…梅雨のジメジメした空気と曇った空。
「…雨。」
太陽さえも俺を慰めてはくれないようで、傘を忘れた俺は1人、雨に濡れながら走る。
近くのコンビニで雨宿りしながら、雨で重くなった服から水を絞り出す。
「…もうすぐ、七夕か。」
はぁ、と溜息をつきながら、カップルが七夕に浮かれる様を想像し、更に憂鬱になった。
「帰ってゲームでもするかぁ…」
シトシトと降る雨を小走りで帰った。

「赤い糸」
#創作

6/24/2023, 4:38:16 PM

1年後の俺はどんな姿で、立ち位置で、どんな趣味で…どんな人になっているのだろう。
絵は成長しているだろうか。歌は上手くなっただろうか。学校にはちゃんと行けているだろうか。勉強は出来ているだろうか。
…ちゃんと、普通になれているだろうか。
皆が望む「普通」になれたなら、僕はそれ以上嬉しいことはない。普通になれなくて、これまで苦労してきたから…。
明日さえどうなるかわからない。死ぬかもしれない。未来は怖いけど、楽しいかもしれない。
考えていると疲れてくる…。これまでの自分、今の自分、未来の自分。全てに嫌気がさす。
…考えるのをやめよう、無駄な事だ。
おやすみ。
よろしく。明日の自分。

「1年後」

6/23/2023, 3:53:27 PM

子供の頃は楽しかった。

春は野原を走った。毎日毎日、よくもまぁ飽きずにやったものだ。つくしやたんぽぽ、桜。蝶々、鉢。暖かな春の風。兎に角心地好かった。

夏はまず梅雨が来た。梅雨が来ると野原を走れない。だけど、梅雨には梅雨の楽しさがあった。傘に雨粒が当たる音、水溜まりと靴がぶつかる音。。蛙に蝸牛。梅雨がシーズン真っ盛りの紫陽花。雨音が好きだった。

夏が本番になった。夏といえば夏休み。クラスの皆とは少しお別れ。沢山持ち物があって大変だった。
夏はおばあちゃん家に遊びに行く。おばあちゃん家には畑があって、季節に合ったものを植えるので、毎年スイカをくれた。おばあちゃん家はうちより更に田舎だったから、カブト虫もクワガタも、セミも。沢山虫が居た。夜中におじいちゃん、お父さん、お兄ちゃん、俺で懐中電灯構えて虫取りに行くのが楽しみだった。

秋は少し寒くなって、山も色付いた。どうやらイチョウが沢山生えているらしくて、銀杏の匂いが少し臭かったけど綺麗で好きだった。
秋は毎年ストーブの上で焼き芋を焼いて食べた。お母さんに「どのくらいで焼ける?」と何度も聞いた。平和な秋が、好きだった。

冬は本格的に寒くなって、雪かきをしたり雪だるまを作ったり、ソリで山から滑ったりした。怖がる僕をお姉ちゃんが無理矢理乗せて滑ったソリが俺の初めてだったけど、凄く楽しかった。山の前にあるデカイ公園には、沢山雪像が作られた。夜の石像は蝋燭が置かれていて綺麗だった。寒いけど凄く楽しかった。

楽しかったな、何も考えず、ただただ駆け回るのは。
楽しかったな。

「子供の頃は」

6/21/2023, 10:27:44 PM

僕の好きな色はオレンジだ。
理由は好きなキャラの色…つまりは「推しカラー」というやつだからだ。
そりゃあ、他にもピンクとか赤、青、紫と沢山居るが…それでも1番大好きなこの子とは思い入れがあったのだ。
まぁ有り体に言えば…いじめられて不登校になっていた僕の人生に希望を持たせてくれた。
本当に何もかも興味が無くなって、生活には家族や世間の冷たい目への恐怖ばかりだった。
家族さえもが怖くて。ご飯も残してくれたものを温めて1人で食べた。それ以外は部屋に籠って泣くか眠るか。そんな生活だったと思う。
「不登校なんだから勉強しろ」
そう思うだろう。でも出来ない。というかしたくなかった。出来るだけ学校を思い出す行為をしたくなかったし、どうせ変わらないと思った。
そんな俺にあの子は来てくれた。先輩からの紹介で、とあるゲームを知った。
先輩が持ってきたテキストブック的な本には目次としてそのゲームのキャラのミニキャラが描いてある。
――気になる子が居た。何故か目が離せなかった。
先輩が帰ったあとも、唯一覚えたその子の名前を検索し、YouTubeで見たりした。その時間だけは楽しかった。
もしオレンジの彼に会えたなら、一言だけでいい。

「ありがとう」

と言いたい。

【好きな色】

6/19/2023, 3:45:15 PM

相合傘ってロマンがあると思う。
クラスの奴がふざけてカップル作って相合傘書いて
「○○と○○は付き合ってるー」
「やめてよー!」
みたいな光景を、1人教室の隅で見たり。
雨の日の街中でカップルが手を繋いで寄り添いながら相合傘してたり。
かくいう俺はやった事など当然無いが、ないからこそ、ロマンを感じるものだ。―誰かが言った。

「手に入らぬからこそ美しいものもある。」

と。
確かに手に入ってしまえば想い焦がれる事はないし、興味も無くなり、あんなに耽り想い描いた妄想も途端につまらない日常に変わるのだと考えてみると、「経験しない」というのもいいように思える……のは、これもただ俺が怠惰なのだろう。経験してみたいししてみたくない存在。そんなもの。

【相合傘】

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