「運命の人とは赤い糸で繋がれている」
…なんて、誰が言ったのか。実際ここ16年生きてきて俺は、「この人…!…運命だ!」なんて事起きた事ないし。
幼馴染とか、転校生とか。そんな漫画みたいな事は起きないし、期待するだけ無駄なのだ。
人でごった返す街中には、カップル…カップル…カップル……
「赤い糸で結ばれてんのかなぁ」
ボソッと呟き、空を見上げる。
俺にあるのは、夏…梅雨のジメジメした空気と曇った空。
「…雨。」
太陽さえも俺を慰めてはくれないようで、傘を忘れた俺は1人、雨に濡れながら走る。
近くのコンビニで雨宿りしながら、雨で重くなった服から水を絞り出す。
「…もうすぐ、七夕か。」
はぁ、と溜息をつきながら、カップルが七夕に浮かれる様を想像し、更に憂鬱になった。
「帰ってゲームでもするかぁ…」
シトシトと降る雨を小走りで帰った。
「赤い糸」
#創作
6/30/2023, 10:24:31 AM