大狗 福徠

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2/12/2026, 2:49:58 PM

伝えたい
やりたいことが脳裏に浮かんでは消えていく日々。
後ろ向きな承認欲求と前向きな呪いに板挟みの心。
青空を憎むほど染み付いた悩み。
道端の花を憂う程度の自尊心。
全部、全部、あなただけのもの。
汚くたって構わない。
物を拾うために屈むのは当たり前だ。
身の丈に合わなくたっていい。
いつかを願えるということだから。
だからあなたは健やかでいればいい。
時々迷ったり、躓いたり、知らない道を歩いたりして。
あなたが歩いた道が、全てあなたのためになるわけじゃないけど。
でも無意味無駄無価値になんてならないんだから。
鏡の向こうのあなた。
誰彼皆にそっぽを向かれた小さな私。
もう大丈夫だから、胸を張りなさい。
あなたのお陰で、私は素敵なものをたくさん得たよ。
もう大丈夫なのだから、泣くのはおやめなさい。
幼いあなたが蒔いた種は、今、立派に芽吹いているのだから。
誰もあなたを抱きしめないかわりに、私が陽だまりになろう。
幼い私よ、顔を上げるのよ。
雲が多くたって、あなたの好きな空はそこにあるんだからね。

2/9/2026, 10:51:00 AM

花束
ひしゃげた花束が道端に転がっている。
踏み潰されたそれをなんとはなしに拾い上げる。
黄色を中心に構成された花束だ。
贈られた人はきっと、黄色が好きか似合うかだったんだろう。
しかし拾い上げたとて、
その荒らされようをどうにもすることはできないのだ。
花屋でもなければ魔法使いでもない。
丹念に崩された花は花弁どころか茎の全域に至るまで平べったい。
それでも、一縷の望みをかけて踏まれない高台に花を担ぎ上げる。
担ぎ上げた所で、花にとっては関係ないだろう。
なぜなら、花々は茎を切られたその時点で死んでいるのだから。
殺されたその上で、自らの死体を弄ばれる。
この花束は、一体前世でどんな罪を犯したというのだろう。
子をなす中途で首を切られ、見世物扱い。
最終的にはゴミ扱いで踏み潰される。
なんて痛ましい。
その切られた首の塊に自我はないであろうことが、
唯一の救いだろうか。
黄色の花々は潰れながらも自己を失わずいる。
もしや、花は罪人の生まれ変わりなどではなかったのか。
これらは罪を犯したからではなく、
その高潔さゆえに花になったのか。
であれば尚更痛ましい。
斯様にも素晴らしい者共は、結局は搾取されるだけなのか。
いくら道を切り開こうが、言葉を与えようが、日差しとなろうが、
何も言われることなく踏み潰されて糧となるだけなのか。
この花は、なんなのだろう。
罪人か、善人か。
或いはその両方か。
頭を撫でたその優しい手で頬を打ち、
人を殺しに行ったその足で愛しい家族の元へ帰るのが人間である。
これは、あなたは善性であり悪性なのか。
高台へ掲げられたような花は応えることはない。
まさに、死人に口なしということか。

2/9/2026, 9:31:04 AM

スマイル
口の端っこを持ち上げて、はい。すまーいる。
家の恥ぢっ子を持ち上げて、はい。ばーいばい。
ばいばい、ばいばいだよ。
醜い腐ったこの家に、優しい優しいお前はいてはいけないからね。
お前がここを出る為なら、俺はなんだってするからね。
だからほら、向こうへお行き、恥ぢっ子ちゃん。
一人は寒くて、嫌だろうけど。
でも、それよりずぅっといいんだからね。
ほら、端っこのおまじないをしよう。
口の端っこを持ち上げて、はい。すまーいる。
ね、またね。
かわいいかわいい、我が子よ。

2/8/2026, 9:54:44 AM

どこにも書けないこと
生きるっていうのは、基本抑圧だと思う。
自分の意識を外に出したことはない。
意見も思いもそう。
自我なんてもってのほか。
自分にたくさんの人の目という
重しを乗せて無理やり押し黙らせる。
押し込められて苦しくはなるけれど、苦しいだけで終わる。
大切な部分を、要は弱点を隠すから決して傷つかないで済む。
抑圧を、可哀想だと言う人もいるけれど。
それを鵜呑みにして自分を出して、
そのせいで傷ついたときに責任を取ってはくれないから。
可哀想だで終わらせるから。
他でもない自分を守るために生きることを、決してバレないように。
そのための抑圧を心に抱えること。
どこにも出さない、書かない、見せないこと。

1/27/2026, 2:48:11 PM

優しさ
ぼんやりと月を見上げる者がいる。
あなたのことである。
ぼんやり光る月を、同様にぼんやりと、
無感情で感情を考えるように見上げているあなたである。
ぼんやり光る月がある。
”大切なこと”である。
大切なことは、無論大切で、大変大切で、
核たるものになりえる大切なものなので、
後生大事に浮かんでいるのである。
しかし遠くにいるのだから。
そうであるのだから当然手は届かない。
しかし、霧だって泣いているし。
雨だって、大声をあげるのだし。
あの日の空は、とても弱くて薄く凍えたから。
多分、多分、きっとそういうことなのだろう。
守れはしない。
ぼんやりと、月を見上げるあなたなのである。
守れなくとも、見上げる、見上げているあなたなのである。

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