大狗 福徠

Open App

優しさ
ぼんやりと月を見上げる者がいる。
あなたのことである。
ぼんやり光る月を、同様にぼんやりと、
無感情で感情を考えるように見上げているあなたである。
ぼんやり光る月がある。
”大切なこと”である。
大切なことは、無論大切で、大変大切で、
核たるものになりえる大切なものなので、
後生大事に浮かんでいるのである。
しかし遠くにいるのだから。
そうであるのだから当然手は届かない。
しかし、霧だって泣いているし。
雨だって、大声をあげるのだし。
あの日の空は、とても弱くて薄く凍えたから。
多分、多分、きっとそういうことなのだろう。
守れはしない。
ぼんやりと、月を見上げるあなたなのである。
守れなくとも、見上げる、見上げているあなたなのである。

1/27/2026, 2:48:11 PM