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7/29/2025, 9:32:23 AM

虹の始まりを探して

虹を見つけた。綺麗な虹。
虹を見つけると、毎回決まって見るところがある。虹がどこから始まっているのかだ。
本当は虹は、雨粒と光の屈折とかで見えるから、実態があって触れられるわけじゃない。それでも、私はどこから始まっているんだろう。と毎回思ってしまう。
今日も虹を見てそんなことを思っていた。

虹の始まりには何があるんだろう。

いつもは目で見るだけなのに、そんなことが気になってしまった私は、カンカン照りの夏の中、虹の始まりに向かって歩き始めた。

別に何か特別なものがあるはずない。
そんなことは分かっているはずなのに、今日の私は何かがあってほしいと願うように向かっていた。

歩いていくうちに、虹は少しずつ薄くなってしまっている。少し焦りながら、早足で向かい始める。
「なにかがあってほしい」 そう思いながら。

虹が消えるとほぼ同時に虹の端に見えたところに着いた。


そこには、やっぱり何も無かった。

「やっぱりね。」

そう思ったのに。
何故か私は、虹の端に向かって歩いたことを、後悔していなかった。

どこかの小さな夢を持った心が、虹を追いかけることを楽しんでいた。

7/27/2025, 2:05:10 PM

オアシス

暑い外を歩いていると、とある店を見つけた。
なにか不思議な雰囲気を漂わせたそのお店に、私は吸い込まれた。

中に入ると、本がものすごく高くまで本棚に入っていた。本と、本棚の木の匂い、そして、心地よい冷房。
アンティークチックなそのお店には、説明書きがあった。

ここは、人によって中身が変わる店です。
独自の世界観を楽しんでください。

周りをみると、本以外にも様々なものがあった。
本、カメラ、ビーカー、黒板。

私の好きな物ばかりだった。

ああ、ここは、オアシス。

私はそう思った。

7/26/2025, 10:55:01 AM

涙の跡

涙の跡を見せないようにしてきた。
泣いたと気付かれたら、申し訳なくなるから。
泣いてごめんねって、言いたくなるから。
ひとり、夜に泣いていた。
声を殺して、心を抑えて。

涙の跡はできなくなった。涙が流れないから。

それでも、見えないところに涙の跡があった。


「涙で赤らんだ君を、僕は見逃してない。」

泣いていない私を見て君は言った。

7/26/2025, 8:12:17 AM

半袖

普段は長袖の君が、今日は珍しく半袖を着てきた。
真夏。川に行こうと誘ってくれた君は、川に足を突っ込んでバタバタさせながら
「川に来るって、普段しないでしょ?」
と言ってにっこりと笑った。
木陰の中で顔が綺麗に映っている君は、とても美しかった。

7/24/2025, 1:22:17 PM

もしも過去へと行けるなら

もしも過去へ行けるなら私はどうすれば良かったんだろう。
あの時ああじゃなければ、今私を苦しめるものはないはずなのに。あの時なにも話さなければ、私は否定されなかったのかな。

過去へと行けるのなら、私は何をしていたのかな。今のいいことも、過去で何かしたら変わってしまうのだろうか。それなら、過去も怖い。

過去に行けるのは、御伽噺だけでよさそうだ。

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