ピコン
深夜1時、俺のスマホに1件のLINEが来た
喧嘩中だから
未読無視してやろうかと思ったけど
お前からこんな時間にLINE来るなんて珍しいから
既読無視にしようと通知をタップした
「ごめんね」
それだけのメッセージ
らしくない
何だか嫌な感じがして
体が勝手に動きだしていた
行くあてなんてないのにがむしゃらに
「やっと見つけた」
「めっちゃ息きれてんじゃん(笑)」
「仕方ねーだろ運動は嫌いなんだよ」
「運動、嫌いなのに僕のためならそんなに走ってきてくれるんだ」
「…うるせぇ、帰んぞ」
「はーい」
お前の目が赤く腫れてることも
お前がいたところが人気のない駅のホームなのも
全部、見逃してやる
だから
「…俺の傍から離れんな」
あいつは一瞬驚いた顔をして、優しく微笑んだ
お題:『1件のLINE』
朝、目覚めると泣いていた
なぜ泣いているのかは分からない
でも、なぜだか懐かしいような
切ないような
そんな気持ちになった
僕は目に溜まった涙を拭って壁にかけてあるカレンダーを見た
7月11日
あぁ、
「君がいなくなってからもう3年か…」
お題:『朝、目が覚めると泣いていた』
「東京ってキラキラーってどこもかしこも光ってるんでしょ?!魔法みたいに!」
少女は僕にキラキラした目でそう言った
僕はそうとも違うとも言わずに
「なんでそう思うの?」
と問いかけた
「だって、だって、テレビで見る東京は人も建物もキラキラ光ってて凄いんだもん!私はいつか東京に行って誰よりも輝くの!」
自分の将来への希望に満ち溢れた目で、力一杯に語る彼女は美しかった
「…うん、きっとなれるよ」
僕は彼女に微笑みかけて
「じゃあまた来るね」
と、彼女の病室を去った
「…ごめんね」
お題:『街の明かり』
「なーにしてんのー」
頭上から声が聞こえて僕は頭をあげる
「…え?僕ですか…?」
僕が誰かに話しかけられたのが信じられなくて、しかもそれが学校一の人気者の彼女だってことも信じられなくて、勘違いかもって確認した。
彼女は笑いながら
「逆に君以外の誰がいるのさ!てか、何してるの?ゲーム?」
なんて言いながらグイグイ迫ってくるもんだから勢いに押されて
「う、うん。」
と答えた
「いいなーゲームできて、私ゲームが絶望的に下手なんだよねー、いっつも弟にバカにされる」
彼女は少し落ち込んだように眉を下げた
…弟いるんだ、たしかに面倒見よさそうだもんな
そんなことを考えていると、
「ねえねえ!私にゲーム教えてよ!」
「え?」
ただの地味目のゲーヲタの僕が、学校一の人気者に?
「おねがい!」
そう素直にお願いされると断れない…
「…いいよ、どんなゲーム?」
「ほんとに?!ありがとう!えっとね…」
久しぶりに古びれた卒業アルバムめくる。
たくさんの彼女との思い出が鮮明に頭をよぎる。
そんなこともあったななんて思っていると、リビングから声が聞こえた。
「ねぇ!あのゲームの続きしよー」
その元気な声にいつもの通り僕は
「はーい、今行く」
と返した。
お題:『友達の思い出』
満面の星空なんていつぶりだろう
日々、仕事、仕事、寝る、仕事…
都会のビル群の光に飲まれて
社会の歯車のひとつになって
どうせ、いなくなってもこの世界は何も変わりはしないのに
必死に、必死に働いて
…でも、もういいんだ
僕は自由になったから
「上から見る星も悪くは無いな」
眩しいくらい満面の星空にそう呟いた
お題:『星空』