7/4/2021, 3:42:28 PM
「わしだけが知ってるんじゃ」
僕の目の前に現れた狐耳で和装の少女がニヒッという効果音がつきそうな顔で僕にそう言った
「じゃあ教えてくれたっていいじゃないですか」
僕が困った顔でそう言うと彼女はいじめっ子みたいな顔して
「言ってしまったらつまらんじゃろ?」
なんて言うから
「どうせつまらない人間なんでいいんですよ」
と言い返してやる
そうすると彼女は急に真面目な顔で、でも優しい顔でまっすぐ僕のことを見つめながら
「そうかそうか、でもわしと出会ったのはつまらん事じゃったのかのう?」
なんてわざとらしく聞いてくる
…それを言われると何も言い返せないの知ってるくせに
僕は必死に余裕な顔を作ってこういった
「…まぁ、そんなことも無くはないですけどね」
彼女はまたいじめっ子の顔をして笑った
お題:『神様だけが知っている』
7/3/2021, 2:10:41 PM
「この道の先に必ずきっと私たちが生きていい世界があるよ」
君は満面の笑みでそう言って強く足を踏み出した
僕はその言葉に背中を押されるように、手を引っ張られるように、前に進んだ
何があるか分からない道で
僕たちが生きていい世界があると信じて
…信じて
信じ…て…
僕はその道の真ん中で仰向きに横たわった
…倒れた、と言った方が正しいかもしれない
そして、憎いほどにいい天気の空に、もう居なくなってしまった君に言った
「もう、そっちに行ってもいいかな…」
お題:『この道の先に』