朝、目覚めると泣いていた
なぜ泣いているのかは分からない
でも、なぜだか懐かしいような
切ないような
そんな気持ちになった
僕は目に溜まった涙を拭って壁にかけてあるカレンダーを見た
7月11日
あぁ、
「君がいなくなってからもう3年か…」
お題:『朝、目が覚めると泣いていた』
「東京ってキラキラーってどこもかしこも光ってるんでしょ?!魔法みたいに!」
少女は僕にキラキラした目でそう言った
僕はそうとも違うとも言わずに
「なんでそう思うの?」
と問いかけた
「だって、だって、テレビで見る東京は人も建物もキラキラ光ってて凄いんだもん!私はいつか東京に行って誰よりも輝くの!」
自分の将来への希望に満ち溢れた目で、力一杯に語る彼女は美しかった
「…うん、きっとなれるよ」
僕は彼女に微笑みかけて
「じゃあまた来るね」
と、彼女の病室を去った
「…ごめんね」
お題:『街の明かり』
「なーにしてんのー」
頭上から声が聞こえて僕は頭をあげる
「…え?僕ですか…?」
僕が誰かに話しかけられたのが信じられなくて、しかもそれが学校一の人気者の彼女だってことも信じられなくて、勘違いかもって確認した。
彼女は笑いながら
「逆に君以外の誰がいるのさ!てか、何してるの?ゲーム?」
なんて言いながらグイグイ迫ってくるもんだから勢いに押されて
「う、うん。」
と答えた
「いいなーゲームできて、私ゲームが絶望的に下手なんだよねー、いっつも弟にバカにされる」
彼女は少し落ち込んだように眉を下げた
…弟いるんだ、たしかに面倒見よさそうだもんな
そんなことを考えていると、
「ねえねえ!私にゲーム教えてよ!」
「え?」
ただの地味目のゲーヲタの僕が、学校一の人気者に?
「おねがい!」
そう素直にお願いされると断れない…
「…いいよ、どんなゲーム?」
「ほんとに?!ありがとう!えっとね…」
久しぶりに古びれた卒業アルバムめくる。
たくさんの彼女との思い出が鮮明に頭をよぎる。
そんなこともあったななんて思っていると、リビングから声が聞こえた。
「ねぇ!あのゲームの続きしよー」
その元気な声にいつもの通り僕は
「はーい、今行く」
と返した。
お題:『友達の思い出』
満面の星空なんていつぶりだろう
日々、仕事、仕事、寝る、仕事…
都会のビル群の光に飲まれて
社会の歯車のひとつになって
どうせ、いなくなってもこの世界は何も変わりはしないのに
必死に、必死に働いて
…でも、もういいんだ
僕は自由になったから
「上から見る星も悪くは無いな」
眩しいくらい満面の星空にそう呟いた
お題:『星空』
「わしだけが知ってるんじゃ」
僕の目の前に現れた狐耳で和装の少女がニヒッという効果音がつきそうな顔で僕にそう言った
「じゃあ教えてくれたっていいじゃないですか」
僕が困った顔でそう言うと彼女はいじめっ子みたいな顔して
「言ってしまったらつまらんじゃろ?」
なんて言うから
「どうせつまらない人間なんでいいんですよ」
と言い返してやる
そうすると彼女は急に真面目な顔で、でも優しい顔でまっすぐ僕のことを見つめながら
「そうかそうか、でもわしと出会ったのはつまらん事じゃったのかのう?」
なんてわざとらしく聞いてくる
…それを言われると何も言い返せないの知ってるくせに
僕は必死に余裕な顔を作ってこういった
「…まぁ、そんなことも無くはないですけどね」
彼女はまたいじめっ子の顔をして笑った
お題:『神様だけが知っている』