10/22/2025, 4:01:26 AM
予感はあったんだ。
腹の底から迫り上がる、正体不明のそれが。1日ずっと拭うことができず存在していたそれが。
いつの時点だ?
外に出る1歩目か。
ニュースの合間にあった星座占いでの最下位か。
少し焦げたパンを噛じった時の苦味か。
いいや、
目が覚めた時。
今日という日が始まった時から、それはあった。
目の前に広がる鮮血は、まるで夢の中にいるかの様に、鮮やかだ。
「お題 予感」#60
10/21/2025, 12:12:34 AM
少女はずっと誰かに話し続ける。
そこには少女しかいない。
数体のぬいぐるみだけが、物言わず座っている。
「お題 friends」#58
10/20/2025, 4:23:29 AM
いつの日にか思い出す。
君が歌ってくれた歌。
舌に乗せて口ずさむ、古い古い歌。
君が僕に教えてくれたように、君がお爺さんから教わったように、お爺さんがお父さんから教わったように。
いつの日にか、僕も誰かに伝えていこう。
誰かが歌った、その歌を。
「お題 君が紡ぐ歌」#89
10/19/2025, 5:40:09 AM
目を凝らす。
その先にあるはずの、ひとすじの光の在り処を探して。
深き霧を掻き分け、朝日が東の空から昇るその瞬間を。
「お題 光と霧の狭間で」#57
10/18/2025, 3:52:51 AM
流れる砂の粒子が、サラサラと時を刻む。
砕かれ散り散りとなった隕石の残骸。
宇宙の彼方からやって来た塊は、途方もない時間をかけて小さな硝子細工の中に収められ、駆けてきた幾億の時のほんの僅かな部分だけを刻み続ける。
くるり、くるり。
今日も粒子が流れ落ちていく。
「お題 砂時計の音」#55