昼顔

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8/19/2025, 2:35:35 AM

カランコロン、カランコロン。
近くて遠い下駄の音が、今日は側で聞こえる気がする。
夏の青空を見ながら微笑んでいた母の顔が、今でも鮮明に思い出される。
カランコロン、カランコロン。
2足の下駄が音を鳴らして石畳を進んでゆく。
カラン。
立ち止まったのは、見慣れてしまった墓石の前。そこに刻まれた母の名をそっとなぞるとほんの少しざらついた粉末状の汚れが、指先に付着する。
持ってきた掃除用具を使い、丁寧に掃除する。年に一度の親孝行。
仕上げに線香と、花屋で選んだ花を供える。
もっと母さんと一緒にいたかった。
そんな思いを両手で包み、1人帰路に立つ。
カランコロン。
1足の下駄が、石畳を進んでいく。

「お題 足音」#10

8/17/2025, 4:51:26 AM

僕の見ている空の向こうには、同じ空が広がっているのだろうか。
何処までも続くこの空の先には、いったい何が広がっているのだろうか。
もしも僕の背中に翼が生えたなら、何処までも飛んでいって確かめられるのに。
次に産まれてくる時は、神様に頼んで何処までも飛んでいける翼を貰おう。
そうしたらきっと、あの遠い空の端っこまで飛んでいける気がするんだ。

「お題 遠くの空へ」#9

8/16/2025, 2:45:19 AM

もっともっと頂戴な。
この世界で生きている実感を。
もっともっと頂戴な。
私が生きている証明を。
もっともっともっと。
この一時を感じさせてよ。

「お題 !マークじゃ足りない感情」#8

8/15/2025, 5:14:48 AM

その瞳に映る世界は、いったいどんなものなのでしょう。
美しいものでしょうか?
それとも醜いものでしょうか?
貴方の瞳に映るその景色を、私も見ることができるでしょうか。

「お題 君が見た景色」#7

8/14/2025, 3:05:19 AM

たとえば、映画館で涙した時。
たとえば、あの時聞いた曲に出会えた時。
たとえば、大切な人がいなくなった時。
私の心は、言い表せない感情で満たされるのでしょう。

「お題 言葉にならないもの」#6

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