濃紺の空に咲く、大輪の華。
喉を伝う、ラムネの味。
暑さが汗となって、大地を濡らす。
いつか思い出すある真夏の記憶。
「お題 真夏の記憶」#5
茹だる暑さ。
アイスの冷たさが喉を伝い、頭を冷やす。
クリアになる視界に映る、夏の陽炎。
アスファルトを焼き焦がす太陽光は生命すらも焼き尽くさんばかりに輝いている。
否、命ばかりでない。ありとあらゆるモノを燃やし尽くす勢いだ。
人も、動物も、植物も、街も、等しく焼かれる。
地球という星そのものを常に照らしている。
それに比べれば、固形のアイスクリームを溶かすことなど簡単で、液状の雫が私の手を伝い地面に落ちようと、瞬時に気化してしまうのも自明の理。
こうして今日も、夏が過ぎていく。
「お題 こぼれたアイスクリーム」#4
気安く優しくしないでよ。
私の事なんて何とも思ってないくせに。
私の事なんて何にも知らないくせに。
気安く私の心に触れないでよ。
傷んだ心が、悲痛に叫びだす。
どうして分かってくれない?
こんなに胸の奥が痛むのに。
どうしてそんなに他人事なの?
こんなに涙が出てくるのに。
何で簡単に済ませようとするの?
私の傷も痛みも、何も知らない人間が、気安く手なんて差し出さないで。
軽々しく出されたその手の温もりを、否応なく信じたくなってしまうから。
「お題 やさしさなんて」#3
肌を撫でるそよ風の、心地良さが熱を冷ます。
木々を揺らす波間から、木漏れ日がきらきらと乱反射する。
茹だる暑さのただ中の、ほんの少しの安らぎ。
「お題 風を感じて」#2
どれだけ描いた素晴らしい夢も、叶えなければ夢で終わってしまう。
願った未来は程遠く、明日の景色さえ人には未知。
進む先は闇の中。
戻る場所は何処にもない。
それでも、生きてる限り進まなければならない。
命終わるその時に、夢見た光景をその目に映すため。
限りある命をもって産まれた、この世界を覚えておくために。
この世に叶わぬ夢など、ないのだから。
「お題 夢じゃない」#1