汚水 藻野

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9/2/2023, 12:46:57 PM

「"心の底から熱く燃え上がる"

それが俺のキャッチコピーだった。
だが今では、

"心の底から冷めきり燃え尽きた"

とかなんとか謳われてるらしい」

男はそう言って乾いた笑いを浮かべる。おれはその男を見つめていた。

「でもねえ、…俺は別に燃え尽きちゃいないんだぜ。今はただ、目に見える炎が灰になっただけだ。

"心の底から"は燃え尽きてねえ。」

おれはその言葉にはっとした。男は力強い声で言った。

「炎ってのはな

燃えるものがあれば小さな灰でも這い上がれる

そういうもんなんだ

心の灯火が消える

その時が、その瞬間だけが


本当の"心の底から冷めきり燃え尽きた"なんだよ」

_2023.9.2「心の灯火」

9/1/2023, 11:58:38 AM

あいつはいつでもヘラヘラ笑って憎たらしい奴だった。

でもあいつには「耐えられないもの」があって、あいつなりに「耐えていた」らしい。

目の前の深淵が、覗けずに黒いまま。

俺は焦った。

いくらあんな奴だったとして、それを見捨てていい言い訳にはならない。

俺は携帯でLINEを送ってみようとした。

「…あ、?」


俺は携帯を握りしめながら走った。

_2023.9.1「開けないLINE」

8/31/2023, 10:53:20 AM

「もっと弟を見習いなさい」

「勉強したの?」

「部活なんてやってる暇無いわよ」

僕は中学生なんだけど、幼い頃から"完璧"を目指せと言われ続けて生きてきたんだ。

僕は完璧を求めることに意味が無いと思うんだけど。

僕は完璧じゃない今の僕自身が一番しっくりくるからさ。
勝手だけど、ここで僕の生き方を語ろうか。


完璧を追い求めるよりも大切なことが、
絶対あるはずで。

周りの環境、人々、自然、それと、自分。

一日一日を大切に生きた方が、

絶対良いはずで。

不完全だからこその悩みもあると思う。

でもその悩みも、僕自身でいられてる、

大事なパーツの一つなのかな、

ってね。

_2023.8.31「不完全な僕」

不完全ゆえ成長し完全よりも先の彼方へ。

8/30/2023, 10:19:03 AM

アタシはね?人をさらに美しくするためのほんの一部でしかないわ。

アタシたちの世界にも、みんな違ってみんないい、というように、さまざまな個性や才能が発揮されているの。

例えば、ほらアノコ…すっっごく可愛らしいわ。とてもキュートな感じ。甘いわ〜…。

あのイケメンは…とっっても爽やかだわ。スポーツでもやっているのかしら?と思わせるわね。

ちなみにアタシは…少しクセのある大人の女性って感じよ。



ええ。アタシたち香水の香りを楽しんでくれたのなら、それでいいのよ。

アタシは大満足だわ。

_2023.8.30「香水」

8/29/2023, 1:41:18 PM

今日も彼を見つめる

好きな相手には
奥手になってしまうのが

私の下手な恋愛だった

すごく胸が締め付けられる、淡い淡い恋

私には

彼を見つめることができるだけで

十分だった

_2023.8.29「言葉はいらない、ただ・・・」

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