「"心の底から熱く燃え上がる"
それが俺のキャッチコピーだった。
だが今では、
"心の底から冷めきり燃え尽きた"
とかなんとか謳われてるらしい」
男はそう言って乾いた笑いを浮かべる。おれはその男を見つめていた。
「でもねえ、…俺は別に燃え尽きちゃいないんだぜ。今はただ、目に見える炎が灰になっただけだ。
"心の底から"は燃え尽きてねえ。」
おれはその言葉にはっとした。男は力強い声で言った。
「炎ってのはな
燃えるものがあれば小さな灰でも這い上がれる
そういうもんなんだ
心の灯火が消える
その時が、その瞬間だけが
本当の"心の底から冷めきり燃え尽きた"なんだよ」
_2023.9.2「心の灯火」
あいつはいつでもヘラヘラ笑って憎たらしい奴だった。
でもあいつには「耐えられないもの」があって、あいつなりに「耐えていた」らしい。
目の前の深淵が、覗けずに黒いまま。
俺は焦った。
いくらあんな奴だったとして、それを見捨てていい言い訳にはならない。
俺は携帯でLINEを送ってみようとした。
「…あ、?」
俺は携帯を握りしめながら走った。
_2023.9.1「開けないLINE」
「もっと弟を見習いなさい」
「勉強したの?」
「部活なんてやってる暇無いわよ」
僕は中学生なんだけど、幼い頃から"完璧"を目指せと言われ続けて生きてきたんだ。
僕は完璧を求めることに意味が無いと思うんだけど。
僕は完璧じゃない今の僕自身が一番しっくりくるからさ。
勝手だけど、ここで僕の生き方を語ろうか。
完璧を追い求めるよりも大切なことが、
絶対あるはずで。
周りの環境、人々、自然、それと、自分。
一日一日を大切に生きた方が、
絶対良いはずで。
不完全だからこその悩みもあると思う。
でもその悩みも、僕自身でいられてる、
大事なパーツの一つなのかな、
ってね。
_2023.8.31「不完全な僕」
不完全ゆえ成長し完全よりも先の彼方へ。
アタシはね?人をさらに美しくするためのほんの一部でしかないわ。
アタシたちの世界にも、みんな違ってみんないい、というように、さまざまな個性や才能が発揮されているの。
例えば、ほらアノコ…すっっごく可愛らしいわ。とてもキュートな感じ。甘いわ〜…。
あのイケメンは…とっっても爽やかだわ。スポーツでもやっているのかしら?と思わせるわね。
ちなみにアタシは…少しクセのある大人の女性って感じよ。
ええ。アタシたち香水の香りを楽しんでくれたのなら、それでいいのよ。
アタシは大満足だわ。
_2023.8.30「香水」
今日も彼を見つめる
好きな相手には
奥手になってしまうのが
私の下手な恋愛だった
すごく胸が締め付けられる、淡い淡い恋
私には
彼を見つめることができるだけで
十分だった
_2023.8.29「言葉はいらない、ただ・・・」