「"心の底から熱く燃え上がる"
それが俺のキャッチコピーだった。
だが今では、
"心の底から冷めきり燃え尽きた"
とかなんとか謳われてるらしい」
男はそう言って乾いた笑いを浮かべる。おれはその男を見つめていた。
「でもねえ、…俺は別に燃え尽きちゃいないんだぜ。今はただ、目に見える炎が灰になっただけだ。
"心の底から"は燃え尽きてねえ。」
おれはその言葉にはっとした。男は力強い声で言った。
「炎ってのはな
燃えるものがあれば小さな灰でも這い上がれる
そういうもんなんだ
心の灯火が消える
その時が、その瞬間だけが
本当の"心の底から冷めきり燃え尽きた"なんだよ」
_2023.9.2「心の灯火」
9/2/2023, 12:46:57 PM