突然の君の訪問。
僕はインターホンの音と彼女の声でウキウキと満面の笑顔で玄関に走った。
「久しぶりだね!!」
「そうだね。私も会いたかった」
彼女とは一年越しに会う。一年前に彼女の乗る駅のホームで「もう一度会おう」と約束したきりだった。
「今日は暑いね、部屋ん中クーラー効いてるから入って入って」
「ありがとう。…だけど、私ね、もういいの。あなた、もう三十歳手前でしょ?
仕事も見つかったんだ、って嬉しそうに言ってたし。だから私じゃない人見つけて、」
「なんで」
「僕になんの遠慮もいらないよ。仕事が見つかったのは確かに嬉しかったけど、何より嬉しかったのは一緒に喜んでくれた君だよ。君以外には考えられない」
「私はいつか消えるのに」
「は…」
「会うのはお盆の時期だけよ。あなた、本当は分かってたでしょ。
私も勿論悲しいよ。でも私じゃない誰かと幸せになって?ね?お願い」
僕は、拭えない彼女の涙を拭った。
_2023.8.28「突然の君の訪問」
「うわー最悪だ!!雨が降ってきやがった!!」
十歳くらいの少年は、私のいたコンビニに走る。青春だなぁと思いつつ、私はこれからどうやって時間を潰そうかとぼんやり考えていた。
「ねえねえねえねえおねえええさああああん!!」
……うるさ。すごい声量だな。最初は凄いなこの子と思ったが、だんだんイライラしてきたのでその場を離れようとした。
「まってよ」
のだが、その子は腕を掴んできた。
しかし私はれっきとした大人だ、簡単に振り払える。でも、振り払える勇気は無かった。
その子は幽霊だったから。
「おねえさんは僕が見えるでしょ…?」
"見えると言って" そう訴えかけてくるような瞳に、私は思わず狼狽えた。
「…見えるよ。私が間違うわけないじゃん。
__十年一緒にいた姉が弟の顔を間違えますかっての。」
_2023.8.27「雨に佇む」
☆四月二十日(火)☆
今日は友達のジーフくん(フジイくん)が教室にあった花瓶を割った。
先生にこっぴどく叱られた、と泣きついてきた。面白かった。
☆六月六日(?)☆
ジーフくん、最近おかしな言動をするようになった。ずっと「…??しておけば…やっておけば……」とボソボソ呟くだけ。面白かった。
七月二十一日(56
ああああああああああああああああ
ああ や に(←「た」又は「だ」か?)
(ここから下の文章は全て血文字、ところどころに飛んだ血も見受ける)
た
す
け 4(←「■ね」又は「■ぬ」か)
☆九月一日)☆
今日は夏休み明け最■の学校。久しぶり過ぎて■ー■くんとは■のように話せなくなった。
これから前みたいな仲良しになるつもり。面白かった。
アハ笑なにこれ、七月二十一日の日記?
夏休み前最■の学校の日じゃん。
あーそっか。今日のジーフくんの様■がおかし■ったのはそういう…
そうい■ばその日はせん一(←このいちは「せ」と続く字だろうか?)
(下の文章からこの日記帳を書いた者の字、血とは違うものが見られる)
あは あははは あははははは
さよーならー
_2023.8.26「私の日記帳」
ホラーって難しい…。
自分で書いてて怖くなったし(なぜ)
ちなみに先生(男)は七月二十一日に育休をとったと生徒に伝えられました。
そしてもう一つ。私の投稿している中で七月二十一日のものをご覧ください。
今年も夏が終わる。さいごのホラーをお届けします。
☆八月二十六日☆
ツ■の
や ツ
だ ー■
だ ?
前に向かい合わせの"その人"に、私はため息をつく。
こう見ると"こいつ"、顔はそんなにだと思ってたけど、普通にマシだし彼氏居そう。
いつからこんなふうに?
えーと…だいたい高校生になってからくらいか。"こいつ"が化粧し始めた頃だ。
でも"私"は…
化粧落とした顔は可愛くないし、地味子。
化粧の力を借りてどうにかしようとしてた。
鏡。その向かい合わせの、
"私自身"をね。
_2023.8.25「向かい合わせ」
気付いた時には、どうしようもなかった。
「ああ…、あ…ああ…!」
人を殺した。
なんということだ。
どうすればいい、何をすれば……
ああ、そのまま、
やるせない気持ちだけが残った。
_2023.8.24「やるせない気持ち」
話し手が殺したのか?
殺されている現場を見ているのか?
はたまた殺されている最中だったのか?
「どうでしょうね」
失笑。