「うわー最悪だ!!雨が降ってきやがった!!」
十歳くらいの少年は、私のいたコンビニに走る。青春だなぁと思いつつ、私はこれからどうやって時間を潰そうかとぼんやり考えていた。
「ねえねえねえねえおねえええさああああん!!」
……うるさ。すごい声量だな。最初は凄いなこの子と思ったが、だんだんイライラしてきたのでその場を離れようとした。
「まってよ」
のだが、その子は腕を掴んできた。
しかし私はれっきとした大人だ、簡単に振り払える。でも、振り払える勇気は無かった。
その子は幽霊だったから。
「おねえさんは僕が見えるでしょ…?」
"見えると言って" そう訴えかけてくるような瞳に、私は思わず狼狽えた。
「…見えるよ。私が間違うわけないじゃん。
__十年一緒にいた姉が弟の顔を間違えますかっての。」
_2023.8.27「雨に佇む」
8/27/2023, 10:45:56 AM