僕たちはこの理不尽な世界でそれを間違いだと指摘することなく表面上では「手を取り合って」生きている。
だが、それが正解な世界なんだ。
でも僕はそれを理解できない。理解しようとしても、無理だ、だめだ、全然、分からない。
「常識だから」
「当たり前だから」
「そうしないといけないから」
「それが"普通"だから」
僕はそんなものに騙されないぞ。
そんなに、狭い狭い世界で、
僕たちは手を取り合ってなんか、
生きていけるもんか。
_2023.7.14.「手を取り合って」
優越感
「最近、運動ができるあの子に勝った」
なにで?
「体育で」
ほんとうに〜?
「本当だよ、あの運動神経良すぎマンに勝ったの、めちゃくちゃ嬉しかったんだから」
劣等感
「最近、勉強が同じくらいできるあの子に負けた」
なにでだ?
「テストで」
それは本当か?
「ほんとだよ、あの頭良すぎマンに負けて、めちゃくちゃ悔しかったんだから」
_2023.7.13「優越感、劣等感」
『
これまでずっと、外の世界を見たことがない
だから、文字とかれいぎとかえがおの作り方とか、全部がわからなかった
外の世界に住んで、約半年文を書いてみたけど、つたないし、感じもよめないしかけない
見ろ、これが世界の顔だ
つくったえがおなんかいらない
文字がなくても伝わることだってあるし
それがあればれいぎとかいらないだろ
これが自分が外の世界にきてから、ずっと思っていた思いだ
いつか、自分がかいたこの思いを「自分と同じだ」とか、自分が死んだあとに「こんな思いをした人もいたのか」って思ってくれてたらいいな
さいごまで下手な文だけど、ここまで読んだあなたにありがとう
ありがとう
ここまで読んだあなたが自分の救いです
〇〇年××月△△日
』
これは、最近自殺をした青年が、遺書として書かれたものの一部である。
_2023.7.12「これまでずっと」
「話あるんやけど、ええ?」
親友から1件のラインが届いた。
「どうしたの?」
私はそう返信した。
「うちね、夏休み終わったら転校する事になってん!!
うちのオカン、なくなったん知っとるやろ?
やから、そのオカンの実家に引っ越しするんよ
ごめんね☆☆」
正直、なぜそんなに明るく言えるのか分からなかった。
「ごめんねとか言わんでよ、心配するよふつうに」
「いらぬ心配などかけるなかけるな」
「いる心配だよ」
彼女の性格だ、自分が苦しいけど無理して私を笑わせようとしてくれている。そういうところが彼女の良いところであり、心配な点でもある。
「別にさぁ、5年後でも10年後でも30年後でも会えるっちゃ会えるんやしさ、ね?
そんなに心配せんくてええんやで♡」
「それ絶対会える?」
「絶対会える。これだけは断言できる」
私は、彼女が言った言葉を信じて待つ。
_2023.7.11「1件のライン」
「…ぇ、え、あ、…え!?」
俺はどうやら何処か知らない場所で目が覚めたみたいだった。
「なん、だ…ここ…」
幸いにも手や足は動かせる。俺はそこから立ち上がり、少しずつ歩きながら辺りを見回した。
「きれいだな」
最初に出た言葉はそれだった。
緑色の葉が太陽に透かされ、湖は照らされ、その湖で優雅に泳ぐ白鳥。
こんな、こんなに美しい自然を俺は見たことがない。
「…なんだ、あの蝶」
その美しい自然に目が釘付けになっていた俺の目の前に、輝きながら飛んでいく蝶が、
「まっ…、待って、待ってくれ!」
蝶に向かってそう言ったって、蝶は飛んでいく。でも俺は追いかけた。
「お前は、いや、あなたは…!!
_2023.7.10「目が覚めると」