「…ぇ、え、あ、…え!?」
俺はどうやら何処か知らない場所で目が覚めたみたいだった。
「なん、だ…ここ…」
幸いにも手や足は動かせる。俺はそこから立ち上がり、少しずつ歩きながら辺りを見回した。
「きれいだな」
最初に出た言葉はそれだった。
緑色の葉が太陽に透かされ、湖は照らされ、その湖で優雅に泳ぐ白鳥。
こんな、こんなに美しい自然を俺は見たことがない。
「…なんだ、あの蝶」
その美しい自然に目が釘付けになっていた俺の目の前に、輝きながら飛んでいく蝶が、
「まっ…、待って、待ってくれ!」
蝶に向かってそう言ったって、蝶は飛んでいく。でも俺は追いかけた。
「お前は、いや、あなたは…!!
_2023.7.10「目が覚めると」
7/10/2023, 10:26:50 AM