「愛を叫ぶ」
俺だって、世界の目がなけりゃ咲太に愛を叫びたい。「昔からずっと好きだった!大好きなんだ!」だなんて言えない、言えるわけない。周りの目が怖くて、いつも押しつぶされそうな立ち位置にいる俺がそんなことしていいはずない。
「そんなの妄想で我慢しろよ」と俺の心も呆れてる。
妄想で済むならもんな感情いらねーよ。ばーか。
「一年後」
あいつに恋をしてもう一年か、同性愛者なんて周りから認められるはずがないだろ。周りにバラしちゃいけない。これは俺の心に誓った約束。約束なんかじゃない。縛りだ。
もう会いたくないという一心しかなかった。だけど、街中を俺が歩いていると、初恋の咲太(さくた)が歩いているのを見つけた。
会いたくないと思ってたのに…な
「初恋の日」
初恋の日なんか嫌なほど覚えてる。
俺が同性愛者なばかりに、あいつにまで嫌な思いをさせたかも。
初恋なんかするもんじゃねぇ
恋なんかしたくない
もう辛くなりたくない…
「2人だけの秘密」
君はそう言った。
その言葉が嬉しくて私の心はひとりでに舞い上がってたの。
君が好き、大好き、優しくて、強くて、頼りになる君が。
秘密、誰にも言わないでね
「優しくしないで」
ぼくは猫、捨て猫です。一昨日の大嵐の日、すてられました。このダンボールはまだ濡れていてさむいです。この道を通る大人の人はみんな朝も夜も忙しそうに走っていきます。
ぼくは救ってほしかった。たすけてほしかった。さむくて、おなかもすいてる、さびしい。でも、助けてくれるひとはいないの。
このダンボールから出ようとおもっても、そとは怖いから、なかなかでる覚悟ができないの。
それにぼくはなんですてられたか、今でもわからないんです。うるさくしたおぼえもないし、つめとぎをおうちの壁でやった訳でもない。なのにぼくはすてられちゃった。
そういえば、きょうも、雨だ。
そらからつめたい水がふってきて、ぼくの体をぬらしていじめる。
あといちにちもつかもたないかのぼくの「いのち」
ひえた体を震わせてまた寝ようと思った
「___」人の声が聞こえる。でも何を言ってるかは分からない。「_、__!!」「___」こどもとそのこどものおかあさんがぼくに傘をさしだしながらなにかをはなしていた。
ぼくはだっこされた。
あたたかい。このこどものうでのなかはとてもあたたかい。雨の日なのに。
「これからは、わたしと!いっしょだよ!」そう言われた。この言葉は分かった、理解出来た。
ぼくはうれしくて、うれしくて、しかたなかった。
でも、まえのかいぬしを思い出すととても怖くなるの
優しくしないで、また好きになって裏切られるのが怖いから。
ぼくは猫、飼い猫になるのは2回目です
でもぼくはいま、すごく、しあわせです