《秋に恋する》
(刀剣乱舞/蛍丸)
「蛍は秋のどこが好きー?」
「えー?国俊は?」
「食い物が美味い!焼き芋だろー?栗も美味しいよなー」
「俺も食べ物美味しいものばっかで好きだなぁ」
「秋に恋してるとこはそこかなぁー」
季節それぞれの良さはあるが、
蛍丸にとっての秋に恋する理由は
美味しい食べ物が多くあることなのだという。
《守ること、守られること》
(刀剣乱舞/明石国行)
明石国行という刀は、普段はやる気が全くないのにも関わらず、蛍丸と愛染の同派に対してだけは少しだけやる気をだす刀である。
特に蛍丸については【大事にする】という意識があるように見受けられた。
それは愛染から蛍丸への態度も時折同じように見えた。
2振りにとって蛍丸は【大事に守るべき存在】なのだろう。
けれども蛍丸は決して弱くなどない。ああ見えても大太刀なのだから、腕っ節は2振りよりある。
では何故か?
あくまでこれはある審神者にとっての憶測だが、
現世においての蛍丸という大太刀は【所在不明】なのだ。
かつての大戦後に接収され、行方知らずの大太刀。
『もう二度と会えないと思っていた同派の仲間に会えた』となれば、大事にするのも道理なのではないか、と。
明石に関しては、大事に守られ続け、国宝に成るほどの美しい姿を保っている存在。
大事にされてきたからこそ、その心を誰よりも知る刀。
あの飄々とした姿の奥底には、人知れず抱いている想いがあるのではないだろうか。
《この瞬間を永遠に》
(刀剣乱舞/大包平)
誰しもが「この時間が永遠に続けばいいのに」と思う事があるだろう。
この大包平も同じだった。
彼にとっての時を止めたくなる程の事は、近侍である時だという。
その本丸では近侍を1日交代で務めており、大所帯となればなるほど、近侍が巡ってくるまでに時間がかかる。
だからこそ、近侍として審神者の傍に居られる時間は、大包平にとってかけがえのない時間なのだ。
「次に俺が近侍になる時も、存分に頼ってもらっていいぞ」
《夜景を見たがる理由と見せるもの》
(刀剣乱舞/包丁藤四郎)
「夜景が綺麗なとこ知らな〜い!?」
包丁藤四郎が審神者(男)の元に来て一言目がそれだった。
審神者は仕事の手を止め、「何を突然言うのかな、包丁?」と聞き返す。
「夜景が見たいんだよー!花火もいいけどさー?」
「なんのために?」
「そりゃ....人妻に綺麗な夜景を見せて、好きになってもらいたいからじゃん!」
あぁやっぱり、と苦笑いを浮かべる審神者。
とはいえこの審神者は恋人なんておらず、ましてやこんな環境下で出会いなどあるわけもない。
つまりは"夜景がきれいなとこ"なんて知らないのだ。
とは言え、願いを無下にする訳にもいかないという気持ちもある。
考えた末に審神者は景趣を変えることで手を打った。
《九周年 祝い花火》にすれば、現代の夜の景色。
つまりは夜景と花火が見れるから、という考えだ。
勿論、彼がそれで納得するかは分からないので
駄目だったらお菓子で機嫌を取ろうと思っているのは内緒である。
《花の下で眠る願い》
(刀剣乱舞/五虎退)
その本丸の審神者は、季節によって景趣を変え、四季を楽しむことが好きな人間だった。
春は桜。夏は向日葵。秋は彼岸花。冬は椿。
他の花々も好きで、二十四節気に合わせて変える人だった。
だからなのか、ある日審神者は唐突にこう言った。
「死んだら、花の下に埋めて欲しい」
五虎退は反応に困り、「あるじさま....」と心配をする。
審神者は直ぐに笑い、「いつか来る日の話だよ」と言った。
人はいつか死ぬ。刀剣男士とていつか壊れて消える日が来るかもしれない。
それを受け入れ、前向きに生きるのは簡単なことでは無いことくらい、五虎退とて分かっている。
ならば、その終わりや、終わったあとの事を願うのは人も刀も同じだろうと。
「あるじさまはなんのお花の下に眠りたいんですか?」
審神者は五虎退の問いに「そうだねー....」と悩み、
「桜かな。大きな桜の木の下で眠って、春にはその桜の下で皆に花見をして、一緒に楽しみたいかな」
と笑って答えた。
五虎退は「絶対叶えます!」と笑って返した。