宇宙が誕生してから、どれ程の人々が産まれては死んでいったのだろうか。
私は夢想する。幾億もの無数の人々の影が、陽炎のように揺らめいては消えていくのを。
この宇宙と呼ばれる世界は驚異的で、地球に住む私達はちっぽけな存在だけど、奇跡的な確率で誰かと巡りあい、そして愛し合う。
永遠の渦中のほんの一瞬の、瞬時に消えていく火花のような精神が、消え去る間際まで愛を求めていた。
世には奇跡と呼ばれること以外には何もないのかもしれない。
出逢える幸せは今日も星を廻す。あの天体に揺られて、夢見心地で、愛を謳いながら。
静寂に耳を澄ますと、何かが語りかけてくる気がする。音なき音の、言葉なき言葉の、主張なき主張の、無音の声が。愛溢れる、私達を呼ぶ声が。
それは宇宙の言葉なのだろうか。神様とか、運命とか私にはよく分からないけど、万物の始まりの音は今も続いている。
私達の心臓が、産まれた時からトクン、トクンと鼓動しているように、夢のように果てしない宇宙は今も続いている。無数の連なる精神の、繊維のように織り込まれた夢が私達を幻術にかける。
確かに私達を呼んでいる声がする。
その声が、あまりにも慈愛に満ちているので、私は目を覚ましたくなる。
目を覚ますとどうなるのだろう。私達は影絵のように移り行く。帰りたい。どこへだろう。
それはきっと、私達の本当の故郷。
二人だけの秘密。私の秘密、私が頑なに隠して止まない心の中を知ってるのは、きっと神様だけ。
私の秘密は誰にも教えたりしないよ。誰かと共有するつもりもないし、もちろんここに書き込んだりもしない。
私の秘密は悲哀に包まれている。過ぎ去りし日々の記憶。心に涙の滴りの軌跡が見える。
哀しみや苦しみは世の誰とも共有できない。その意味では人は永遠に孤独であり、死ぬまで十字架を背負って生きなければならない。これは私の人生で、私の体験だから。私の哀しみであり、私の苦しみだから。
誰にも言えない、理解できないであろう過去の秘密の行方はどこだろう。当て所なく心の中で暴れては私を哀しませる。