静寂に耳を澄ますと、何かが語りかけてくる気がする。音なき音の、言葉なき言葉の、主張なき主張の、無音の声が。愛溢れる、私達を呼ぶ声が。
それは宇宙の言葉なのだろうか。神様とか、運命とか私にはよく分からないけど、万物の始まりの音は今も続いている。
私達の心臓が、産まれた時からトクン、トクンと鼓動しているように、夢のように果てしない宇宙は今も続いている。無数の連なる精神の、繊維のように織り込まれた夢が私達を幻術にかける。
確かに私達を呼んでいる声がする。
その声が、あまりにも慈愛に満ちているので、私は目を覚ましたくなる。
目を覚ますとどうなるのだろう。私達は影絵のように移り行く。帰りたい。どこへだろう。
それはきっと、私達の本当の故郷。
5/4/2024, 10:29:14 AM