「あー、空から突然大金降ってこねーかなー?」
男のぼやきに親友は「こいつは何言ってんのか」と返したくなるような顔をした。
「まずはうまいもん食うだろ? それから…」
存在しない大金の使い道を男はべらべらと話す。
「……お前の欲望ってのは果てしないな」
「はっはっは……そっちは大金あったらどうする?」
親友は口を噤んでいた。元々口数の少ない奴ではあるが男の質問に一向に答えようとしない。
使い道か何かを考えているのか親友のは目を伏せ顔は少し赤くなっている。
「お互い欲はありまくりってことだな」
そう言い男は親友の肩を軽く叩き、親友もその衝撃ではっと我に返った。
顔が赤くなるくらいの欲望とは何だろうか――
男は気になったが触れてはいけないような気がしたので自分以上の欲があるんだろうとそう思うことにした。
「見知らぬ街へ」で書いた街への移動手段も列車である。
長時間揺られてやって来た。
過ぎ去る景色を楽しむのが好きなのだが途中眠ってしまったので記憶がなかったりもする。
街中の移動手段も列車。大きい街だからかどれもロングシートだった。
ロングシートは座るとあまり景色が楽しめないから旅行の観点からして個人的にあまり好きではない。
「現実逃避」「見知らぬ街へ」「列車に乗って」
自分からすれば「旅行」を連想させるお題が続いてますます「旅行」に想いを馳せてしまう。
行きてえなあ……行きてえよお。
あれは去年のこと。見知らぬ街へ出掛けたことだ。
とても大きな街で移動するのにスマホとにらめっこ。
はじめて寄った店に思わぬ収穫があった。
行ってみたかったラーメン店へお昼を食べる。
好きな作品の聖地巡礼もしてきた。
夜は光輝くビルの群れにつられて散歩をする。
一泊二日の旅だったが楽しかった。
今でもスマホからそのときの写真を眺めたりする。
また別の見知らぬ街へ出掛けたいな。
現実逃避か~。だったら旅行に行きたいな~。
まずどこへ行こうか、何をしようか。
次に移動手段は何にしよう。
それから宿泊先だ。旅館でまったりもいいし駅近くのビジネスホテルで素泊まりも悪くない。
こうやって考えたり妄想するのが楽しい現実逃避なのだ。
お話ししたいから君にメッセージを送った。
けど君からの返事がなかった。
君は今夢の中へ旅立っているんだろうな。
こっちも君の後を追いかけるよ。
夢の中で会えたらいいな。