しずく

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1/25/2025, 2:12:10 AM

「…きらい。だいっきらい」
 涙交じりの声のまま、ぎゅっと抱きつく力が強くなる。
 こんなの本心じゃないってきっと伝わってしまっている。
 こういうことがいいたいわけではないのに。
「…うん。…それと、今日もなにもなかった、だから安心してほしいな」
 そっと降ってきた彼の声にすこし顔をあげる。
「…ほんと?なんもなかった?」
「うん、奏音が心配するようなことはないよ」
 温かい彼の胸に顔をうずくめる。
 彼が俺の背中に回した腕のなか、ぐしゃと潰される手紙があるなんて知る由もなかった。


やさしい嘘 #171
(易しい嘘と優しい嘘…なんつって)

1/22/2025, 2:02:00 PM

さとう菓子のように甘くて脆い、あの時間を
よるの孤独に思い出す。
なんであの日、ちゃんと渡さなかったのだろう。あれが
らすとになるなんて知らなかったんだよ。


あなたへの贈り物 #170

1/20/2025, 12:33:38 PM

明日に向かって歩く。
でも、こころはいつだって昨日に置き去りだ。
あしたなんてこなきゃいいのに。
もう歩き疲れたよ。


明日に向かって歩く、でも #169

1/19/2025, 10:31:31 AM

大丈夫だよ。
僕でぜんぶぜんぶ埋めちゃえば、僕だけで満たされる身体になる。
ひとりじゃなくなるんだよ。
ほんと…?と震える君の手をとって満面の笑みを向ける。

ここが、僕のとなりが満たされる場所だと知ってしまえば
きみはもう僕から離れられないでしょう?


ただひとりの君へ #168

1/16/2025, 1:30:34 PM

いつの間にだろう。
いつの間に俺は透明な涙を流していたのだろう。
誰にも見えない、自分にすら見つけられない透明な涙を。

「ずっと泣いてんじゃん、お前」
最初言われたときは、こいつ何言ってんだくらいにしか思わなかった。思わなかったのに。

自分に対してですら無意識のうちに隠していた涙を見つけて、すくいあげてくれたのは紛れもなくきみだった。


透明な涙 #167

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