しずく

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8/6/2024, 10:16:29 AM

その太陽みたいな彼は、私にとって眩しすぎた。

無邪気な明るさは私の心を蝕んでいく。

お願いだから、こっちを照らさないで。

照らされる度に自分の汚いところが浮き彫りになる。
照らされる度に罪悪感が募る。

そんなふうに笑いかけてもらえるほど、
私はできた人間じゃない。

どうしてこっちを照らすの。

分かっているのに。
私はきみの隣にいていいほど綺麗な人間ではない。
分かっている。

もう来ないで。
きみの光を浴びていると、心が暖かくなって
溺れてしまいそうになるんだ。

お願いだから、もう来ないで。



─太陽─ #25

8/5/2024, 2:04:51 PM

十二時の鐘と同時にきっと私は消える。

そう言った彼女の儚げな笑顔に、
どこかの童話みだいだ、と思った。

どうして、どうしてそんなことが分かるというの。

彼女の心臓の音が伝わってくる。
彼女はこうして今も生きていて、
それが一生続けばいいのにとか思ってしまった。

確かに未来に保証なんてないから、
今を大切に噛みしめた。

…ああ、これで何人目だ。
どうしてどうして。

僕と関わった人は皆この世界から消えていく。
彼女は違うと思ったのに。

美しい鐘の音と引き換えに
気づけば僕はまたひとりになった。


─鐘の音─ #24

8/4/2024, 11:07:48 AM

きみとなら、つまらないことでも幸せを感じられたのに


            ─つまらないことでも─ #23

8/3/2024, 11:42:21 AM

何度も何度も願った。
これが夢ではないことを。
もし夢なのだとしても、覚めない夢だってあるってことを。

だけど、それは届かずに終わってしまった。

目が覚めるまでにやりたかったことがたくさんある。
例えば、例えば……

あれ?

俺、なにがやりたいんだっけ。
こんなところで、ひとりでなにをしていたんだろう。




─目が覚めるまでに─ #22

8/2/2024, 1:07:15 PM

藍色の空にぽっかりと穴が空いたように浮かぶ、白く光る儚げな月をぼんやりと窓越しに眺めていた。

白で設えられたここに慣れてどのくらい経つのだろうか。

こころがこんなにも痛むのは、知らぬ間に浮かんだあの月のようなこころの穴のせいだ。



─病室─ #21

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